司令塔として戦い抜いた東山の佐藤凪…「反省点も多かったのですが、できたこともありました」

「準決勝がタフなゲームになってしまい、決勝では入りで負けないようにしようと話をしていたのですが、軽く入ってしまいました。そういうときにガードである自分がアクションを起こせなかったのも敗因だと思います」

2月17、18日の期間、奈良県にて開催された「第34回近畿高等学校バスケットボール新人大会」。東山高校(京都府)の佐藤凪(1年)は、準優勝で終えた大会をこのように振り返った。

今大会は、同時期にアメリカのインディアナポリスで行われていたNBAとFIBAが開催するBWB(バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ)グルーバルキャンプにポイントガードの瀬川琉久(2年)が参加。そのため、チームは大黒柱ともいえる瀬川を欠いての戦いとなった。

試合は1、2回戦と危なげない戦いも、準決勝では第4クォーターに報徳学園高校(兵庫県)の追い上げに遭う。終盤には一時同点となるが、ここは佐藤、小野寺星夢(2年)らが踏ん張り、勝負強くシュートを沈めて最後は67−62で報徳学園を振り切った。

しかし、迎えた決勝では試合序盤から京都精華学園高校(京都府)にリードを許す展開に。悪い流れを断ち切れず、前半を終えて25−38と13点のビハインドを負う。後半もカンダ マビカ サロモン(1年)や佐藤らで得点を重ねた東山だったが、コートに立った選手たちが内外とバランスよく加点する京都精華学園との差を縮めることができない。第4クォーターには怒とうの追い上げでビハインドを4点に詰めたものの、大事なところで京都精華学園のキモナ ディエウ(1年)や東郷然(2年)に得点を許し、最後は62-76で敗れた。

「琉久さんがいなくても勝てるぞというのを見せたかったのですが、やっぱりまだ自分が琉久さんに頼っているところがあって、甘さが出てしまったのかなと思います。ポイントガードとしてチームを勝たせられなかったというのは…」と、佐藤は肩を落とした。

1年生の佐藤は、入学当初から主軸を担い、昨年のインターハイやウインターカップなどあらゆる大会でスターターとして出場。3年生の佐藤友、そして2年生の瀬川とともに攻撃の中心を担い、特に高いシュート力を買われて主に2番ポジションとして勝利に貢献してきた。そんな佐藤にとって瀬川に代わってポイントカードを務めた今大会はチャレンジの大会でもあった。

「(ポイントガードとして)チームを勝たせるために何をするのかということは意識していて、得点だけでなく、アシストだったり、チームを引き上げるような声だったりを練習中から意識してやってきました。でも、自分としては満足のいかないパフォーマンスだったので、反省点があります」と、佐藤。さらに反省点ついては「相手に流れを持っていかれたときに、相手の流れを切ることや逆に自分たちの流れを持ってくることが中途半端なところで終わってしまいました」と、語った。

ただ、「課題だらけ」とは言うものの、「来年や将来を見据えてポイントカードをやっていかなければいけないと思うので、反省点も多かったのですが、できたこともあったので、すごく収穫の多い大会でした」と、手応えも確実につかんだ。

鈴木にとって課題と収穫を得た大会となった [写真]=田島早苗

指揮を執る大澤徹也コーチもポイントガードとしての佐藤の頑張りを称えつつ、チームについては「瀬川がいると、瀬川が解決してしまうところがあって、瀬川のパスから気持ちよくシュートを打てるので、周りが瀬川のパスを待ってしまうところがあります。だから(瀬川が不在の今大会では)的を絞らせないような動き作りをしたかったのですが、そういったことも含めて課題が見つかった大会でした。ただ、要所要所でいいプレーも出ていたと思います」と、語った。

エース不在の中でそれぞれが役割を考えながら戦った4試合。それは東山の選手たちにとって、また司令塔という大役を担った佐藤にとっても、次につながる貴重な経験となったはずだ。

文・写真=田島早苗

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