小4死亡…情報提供を求める母、逃げた運転手を探す 遠方在住の男性、SNSで事件を知って母を支援 親亡くし病気で手が震える男性、各地で大勢の署名集める 母「他人へここまでできる人いない」 男性「当然のこと、特別ではない」

小関孝徳君の仏壇の前で手を合わせる北原憲さん=熊谷市内の自宅

 埼玉県熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を訴える孝徳君の母親を支援する男性が長崎県佐世保市にいる。交流サイト(SNS)で「孤高の絵師」として活動する北原憲さん(55)だ。死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求める署名活動を佐世保市や東京都内でも行っており、「声を上げ続けなければならない」と支援活動を続けている。

 事故は09年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石の路上で発生。孝徳君は書道教室から自転車で帰宅している途中に事故に遭った。県警は時効目前となった19年9月、自動車運転過失致死罪から危険運転致死罪に罪名を変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長になった。

 母親は19年1月からブログを始め、SNSなどで情報提供の呼びかけを実施。死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求めて署名活動も行っている。新型コロナウイルスの影響で、一時は活動が制限されたが、昨年11月には法務省などに嘆願書を提出している。

 北原さんと母親はSNSで共通の知人を通して昨年2月に知り合った。北原さんは7年前に母親、4年前に父親を亡くした後、病気を発症。手などが震えてしまう障害を持っているが、「小関さんのことをSNSで知り、声を上げていかないといけないと思った」と振り返る。昨年8月には佐世保市で署名活動を行い、137人の署名を集めた。

 今月中旬には上京して東京都北区の赤羽公園などで署名活動を実施したほか、熊谷市も訪れ、母親と一緒に事故現場に足を運び、母親の自宅で線香も手向けた。母親は「北原さんには今回初めて直接出会ったけど、本当に頭が下がる。他人のためにここまでできる人はいない」と感謝の言葉を口にした。

 北原さんは「人として当然のことをやっているだけで、決して特別なことではない。死亡ひき逃げ事故の時効を撤廃するため、法律を改正しなければならない。これからも訴えを続け、声をからしていくしかない」と話していた。

 母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/">https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。

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