個人投資家は歓迎 商店主「実感ない」 東証最高値 茨城県内、思い交錯

日経平均株価が史上最高値の終値を一時超えたことを示すモニター=22日午後、水戸市内

東京株式市場で22日の日経平均株価(225種)がバブル経済期だった1989年12月29日の水準を上回り、約34年ぶりに史上最高値を更新した。茨城県内では個人投資家らが歓迎する一方で、物価高に苦しむ商店主や年金受給者からは「実感がない」と厳しい声も聞かれた。経済団体からは国への要望などの声が上がる。

22日午前、同県水戸市内の証券会社モニター前。来店した個人投資家らは数字を食い入るように見つめた。同県ひたちなか市の70代男性はトヨタ自動車など優良な日本株を長期保有。「国内株に期待が高まっている証し」と喜んだ。

一方、物価高に直面する市民からは冷ややかな声が聞かれた。水戸市内で金物屋を営む人見正徳さん(78)は「個人商店では実感がない」ときっぱり。同県大子町、年金受給者の男性(67)は「恩恵などない。最高値を更新しても、皆が豊かさを感じているわけではない」と厳しい表情を見せた。

株高が続いていることについて、水戸証券の石川真二水戸支店長は「日本企業の賃上げに取り組む姿勢や業績の良さが決算に表れている。海外から『日本企業の変革』に対する期待感などを理由に買われていることで、株価上昇につながっている」と分析する。

株高は1月に始まった新たな少額投資非課税制度(NISA)による資金流入も一因で、金融機関でも口座開設が増えている。常陽銀行(水戸市)の秋野哲也頭取は「個人には資産運用の提案、地元法人には販路・取引拡大などの本業支援を一層強めていきたい」と見据えた。

筑波銀行(同県土浦市)の生田雅彦頭取は「好調な企業業績が県内企業の売り上げ増、個人消費増加に寄与するか、県内経済活性化に波及するか、注視している」とした。

経済4団体からは期待や注文が相次いだ。県経営者協会の笹島律夫会長は「事業の成長に向けた取り組みを加速する動きにつながってほしい」、県中小企業団体中央会の阿部真也会長は「恩恵が中小企業に波及し、賃上げによる景気の好循環につながれば」と期待を寄せた。県商工会連合会の小川一成会長は「中小・小規模事業者は依然として厳しい。政府にはより一層の支援を」、県商工会議所連合会の内藤学会長は「中小は価格転嫁が進まない。実体経済と整合できる状況をつくり出すことが重要」と注文をつけた。

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