BTCCからホンダの名が消滅。フォード陣営の王者NAPAレーシングUKとヒョンデ・エクセラー8は体制不変

 かつてはFR使いとして『スバル・レヴォーグGT』や『インフィニティQ50(日本名:スカイライン)』でBTCCイギリス・ツーリングカー選手権タイトルを獲得し、昨季は前輪駆動モデルの『フォード・フォーカスST』でも自身4度目のシリーズ制覇を成し遂げたアシュリー・サットンが、引き続きアライアンス・レーシング(旧モーターベース・パフォーマンス)との契約延長を発表。今季もNAPAレーシングUKとして体制不変のなか、記録破りの5度目のチャンピオンタイトル獲得を目指す。

 同じく、その対抗馬筆頭と目されるヒョンデ陣営のエクセラー8は、昨季ランキング2位獲得のトム・イングラムと、WTCC世界ツーリングカー選手権経験者トム・チルトンのラインアップを堅持。一方で昨シーズンまでホンダ陣営のプライベーターとしてワン・モータースポーツ・ウィズ・スターライン・レーシング(旧BTCレーシング)のエントリー名で、FK8型ホンダ・シビック・タイプRを走らせてきたチームが1年間の活動休止を表明し、一時的とはいえBTCCのグリッドから“ホンダ”の名が消えることとなった。

■最多チャンピオン記録の更新を狙うサットン

 昨季2023年に圧倒的な勢いで4度目の栄冠を手にし、合計12勝を挙げてトム・イングラム(ヒョンデ)からタイトルを奪い返したサットン(フォード)は、前述のとおり前輪駆動と後輪駆動の双方で王座を獲得したシリーズ初のドライバーとなった。

 そんな多彩な30歳は冬の間にさらなる改良を受けたフォーカスSTを操り、コリン・ターキントンやアンディ・ロウズらの持つ最多王者記録の更新を狙う。

「このチームですでに素晴らしい2年間を過ごしてきたが、昨年は4度目のタイトルを獲得した記録破りのシーズンだったから、さらなる挑戦に全力で集中している」と続けたサットン。

「クルマは昨シーズン良い成績を収めたが、それがそのまま、今季も相対的な戦闘力として維持され残っているという保証はない。本拠地ではさらなる開発が進められており、ホットシートに戻るのが待ち切れないね」

 さらに度重なるトラブルやクラッシュなど、困難な2023年を経験したダン・カミッシュも同陣営で3年目を迎え、ダニエル・ロウボトムとサム・オズボーンが4台のラインアップを締めくくる。

「2024年もNAPAレーシングUKで活動を続けることをとても楽しみにしているし、このような素晴らしいチームの一員になれることをとても誇りに思う」と意気込みと感謝を語ったカミッシュ。

「過去2シーズンで多くのことを学んだし、僕はチームにさらなる成功をもたらすために、使える能力のすべてを使うつもりであり、チームメイトとともにすぐにトラックに戻ることを楽しみにしている」

王者アシュリー・サットンと、ダン・カミッシュも同陣営で3年目を迎え、ダニエル・ロウボトムとサム・オズボーンが4台のラインアップを締めくくる
「本拠地ではさらなる開発が進められており、ホットシートに戻るのが待ち切れないね」とアシュリー・サットン(右/写真は2023年ラウンチ)
EXCELR8も、昨季ランキング2位獲得のトム・イングラムと、WTCC世界ツーリングカー選手権経験者トム・チルトンのラインアップを堅持

■ホンダ陣営のワン・モータースポーツは2025年の復帰を目指す

 そして昨季はディフェンディングチャンピオンとして臨んだイングラムも、引き続きブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8から参戦。こちらも熟成の進む『ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス』でタイトル奪回に挑む。

「昨年、僕らはタイトルをかけてアッシュ(サットンの愛称)と本気で戦った唯一のチームだった。でも最終的に最後まで戦いを進めることができなかったのは、ノックヒルでのたった1レースのエラーによるものだけだった」と振り返ったイングラム。

「アッシュが非常に多くの勝利を収めていたとき、最終戦に入ってもまだ争いが続いていたという事実は、年間を通じて僕らが非常に安定していたことを示しているが、いくつかの場面で完全なペースを保てなかった。冬の間、僕らはすでに強力なパッケージをさらに強固にするべく懸命に取り組んできた。そうすれば、今季のレースでは毎週末、安定して速いクルマを手に入れることができるだろう」

 そしてジョシュ・クックとエイデン・モファットの両名が、新シーズンに向けスピードワークス・モータースポーツに移籍。新たに創設されたサテライトのLKQユーロ・カーパーツ・ウィズ・SYNETIQから参戦することが発表された後、ホンダ陣営として孤軍奮闘してきたワン・モータースポーツは、2024年のBTCCに参戦しないことを認めた。

「これは非常に難しい決断だったが、チームの向上とスポーツにおける将来の成功を保証するために下された判断だ」と説明するのは、チームオーナーを務めるスティーブ・ダッドマン。

 現インディペンデントのチャンピオンチームとして、シリーズ参戦枠となる3台分のTOCA BTCCライセンスを保有しているワン・モータースポーツだが、その状態を維持したまま2025年のグリッド復帰に向けシビック・タイプRの「広範な開発プログラム」に注力することになるという。この結果、今季のBTCCは1994年以来、ホンダの名がグリッドに登場しないシーズンとなる。

「言うまでもなく、2024年の活動計画については何度も議論があったが、TOCAとの話し合いの末に最終的にこの決定を下したとき、現時点ではそれが正しいと心の底から確信している」と続けたダッドマン。

「非常に尊敬されているパートナーであるNBE(エンジオンチューナーのニール・ブラウン・エンデジニアリング)と、エンジンプログラムとともにシャシー、空力、冷却システムのあらゆる側面で実行したい明確な作業プログラムがあり、今後も開発ツールの電源をダウンさせるつもりはない」

「この1年間は傍観者として過ごすことになるが、来季は強い立場で戻ってきて全力で取り組み、何をするにも新鮮な気持ちで臨むことができるだろう」

チームは3月15日に『ヒョンデi30 Fastback N Performance』の新リバリーお披露目を予告している
FK8型ホンダ・シビック・タイプRを走らせてきたOne Motorsportが1年間の活動休止を表明
「この1年間は傍観者として過ごすことになるが、来季は強い立場で戻ってくる」とスティーブ・ダッドマン

投稿 BTCCからホンダの名が消滅。フォード陣営の王者NAPAレーシングUKとヒョンデ・エクセラー8は体制不変autosport web に最初に表示されました。

© 株式会社三栄