犬の『いびき』実は病気のサインかも…病院へ行くべき危険な4つのサインや見極め方

病院へ行くべき危険ないびきのサインや見極め方は?

犬のいびきは、人間と同じように空気の通り道である上気道(鼻から喉まで)が、何らかの原因で狭くなることで引き起こされます。狭くなった上気道に空気が通るとき、粘膜が振動して生じる音がいびきです。

睡眠時は喉の筋肉が緩むことで喉が狭くなりやすいため、健康な犬でもいびきをかくことがあります。特に熟睡しているときは、いびきをかきやすいです。

そして、喉の筋力が衰える老犬や脂肪で上気道が狭くなる肥満の犬、先天的に上気道が狭い短頭種(パグやフレンチブルドッグなど、鼻ぺちゃの犬種)は、いびきをかきやすいと言われています。

どの犬もいびきをかくことがありますが、いびきが病気のサインである可能性も考えられるので、注意が必要です。以下では、病院へ行くべき危険ないびきのサインや見極め方をご紹介します。

1.急にいびきをかくようになった

病院へ行くべき危険ないびきなのかを見極めるために、以前の状態と比べてみるといいでしょう。今までいびきをかいてなかったのに急にいびきをかくようになった場合は、鼻や喉に何らかの異変が生じている可能性があります。

2.いびきがだんだん大きくなっている

元々日常的にいびきをかいている犬の場合は、その音が以前よりも大きくなっていないかが、見極めポイントになります。いびきがだんだん大きくなってきている場合は、いびきの原因となっている病気が悪化して、上気道がより狭くなっているのかもしれません。

3.いびきの途中で呼吸が止まる

いびきの途中で呼吸が止まり、またいびきが再開されるというパターンが確認される場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。犬の睡眠時無呼吸症候群はあまり多くないですが、短頭種や肥満の犬で見られることがあります。

睡眠時に呼吸が止まる回数が頻回であれば、慢性の睡眠不足となり犬の健康に悪影響が出るおそれがあります。

4.起きているときもいびきのような音を出す

眠っているときだけでなく、起きているときも「ガーガー」と、いびきのような音を出している場合は要注意です。それは、気管虚脱のサインかもしれません。放置していると症状が悪化し、呼吸困難を引き起こす可能性もあります。

犬のいびきから考えられる病気は?

犬のいびきは、病気のサインであることもあります。では、具体的にどのような病気が考えられるのでしょうか。

1.外鼻孔狭窄

外鼻孔狭窄は、主に先天的な要因で外鼻孔(鼻の穴)が狭く、空気の通りが悪い状態のことで、短頭種に多く見られます。犬の外鼻孔はカンマ(,)の形をしているのが通常ですが、外鼻孔狭窄だとL字のような形をしています。

外鼻孔狭窄の犬は呼吸がしづらく、いびきもかきやすくなります。

2.軟口蓋過長症

口の中の喉の手前にある軟口蓋が通常よりも長く、喉の入口に垂れ下がった状態を軟口蓋過長症と言います。

長く垂れ下がった軟口蓋によって空気の通り道が狭くなるため、いびきが発生しやすくなります。外鼻孔狭窄と同様に先天性であることが多く、短頭種に多く見られます。

3.気管虚脱

気管虚脱は、気管が扁平につぶれて呼吸がしづらくなる病気です。遺伝や肥満、加齢が原因と考えられています。

ポメラニアンやトイプードル、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く見られ、初期症状として乾いた咳が出たり、いびきをかいたりします。症状が進行すると、アヒルの鳴き声のような「ガーガー」という呼吸音を発するようになり、呼吸困難を引き起こすことも。

4.アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに体の免疫システムが反応して、鼻の粘膜に炎症が起こり鼻水やくしゃみなどを引き起こす病気です。

アレルギー性鼻炎によって鼻の粘膜の腫れや鼻詰まりが引き起こされることも多く、そうすると鼻通りが悪くなり、いびきをかきやすくなります。

5.鼻や喉の腫瘍

鼻や喉に腫瘍ができると空気の通り道が狭くなるため、呼吸がしづらくなり、いびきもかきやすくなります。いびきのほかに、鼻の腫瘍では鼻水や鼻血、喉の腫瘍では鳴き声の変化などが見られます。

まとめ

いびきは上気道が狭くなることで発生し、老犬や肥満の犬、短頭種の犬はいびきをかきやすいと言われています。

どの犬もいびきをかくことがありますが、以下のような場合は病気のサインである可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

  • 急にいびきをかくようになった
  • いびきがだんだん大きくなっている
  • いびきの途中で呼吸が止まる
  • 起きているときもいびきのような音を出す

いびきの症状で受診する際は、いびきをかいている愛犬の様子を撮影した動画を持参すると、診断の助けとなるでしょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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