駆除用粘着シートにかかったネズミ…国指定天然記念物だった 徳之島

木に登るケナガネズミの成獣(環境省徳之島管理官事務所提供)

 環境省は20日、鹿児島県天城町当部の集落で粘着シート式わなにかかった国指定天然記念物「ケナガネズミ」の幼獣1匹を救護し、山林に放したと発表した。救護したケナガネズミを放したのは徳之島で初めてという。

 同省によると、わなは、住民がクマネズミ駆除用に仕掛けていた。住民から通報を受けた同省職員が4日、ケナガネズミを保護し、徳之島町内の動物病院へ搬入した。障害などが見られないことから、職員が6日に救護地から近い当部の山まで運び自然へ帰した。

 ケナガネズミは、奄美大島、徳之島、沖縄北部のみに生息する国内最大のネズミ。約30センチある尾の先半分が白いことなどが特徴で、木の実や昆虫類、カタツムリなどを食べる。徳之島でも夜間に電線や路上を歩く姿がしばしば見られる。

 同省の田口知宏・国立公園管理官は「餌となるドングリの豊作やノネコ対策などの効果で、徳之島でも個体数が増えている可能性がある。山裾の集落ではかご式のわなを用いるなどし、保護に協力してほしい」と呼びかけている。

環境省職員によって山林へ放たれたケナガネズミの幼獣(環境省徳之島管理官事務所提供)

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