いわゆる「Fラン」大学に通うか、高卒で働くかで悩んでいます。正直、高卒で4年のキャリアを積んだ方がよいですよね?

出身大学によって年収は変わる?

「Fラン」に明確な定義はありませんが、この表現は、とある塾が偏差値の算出が不可能な大学をF(フリー)ランクへと振り分けたことがきっかけで使われるようになりました。ABC順のランク付けが由来ではないですが、そのように誤解されるケースもあるため、現在ではBF(ボーダーフリー)と呼ばれることもあるようです。

日経転職版では、新規会員のうち大卒者に対して年収調査を実施しています。2021年11月から2022年10月までに登録した会員への調査によると、東京大学や一橋大学、東京工業大学など、偏差値の高い大学出身者は平均年収が1000万円を超えていました。

慶應義塾大学や京都大学、早稲田大学なども900万円を超えており、大阪大学や東京理科大学、筑波大学なども800万円台と高年収です。

出身大学によって年収が変わるかの判断は難しいものの、偏差値の高い大学の卒業生は平均年収が高くなる傾向はみてとれるでしょう。

高卒と大卒とでは異なる収入

続いて、高卒と大卒とで収入にどれほどの違いが出るのかを、給与と生涯賃金で比較してみましょう。

平均給与

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、高卒者の平均月収は約27万3800円でした。一方の大卒者の平均月収は約36万2800円です。両者には、明らかな差がみられます。大まかに換算すると、高卒者の平均年収は328万5600円、大卒者の平均年収は435万3600円となるでしょう。実際にはボーナスなども加わるので、さらに差が開くとみられます。

生涯賃金

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計労働統計加工指標集」もみてみましょう。これによると、学校卒業後フルタイムの正社員として60歳まで勤務した場合の平均生涯賃金(退職金は含まず)は、高卒者男性が約2億円、女性が約1億5000万円でした。

一方の大卒者の平均生涯賃金は、男性が約2億5000万円、女性が約2億円となっています。

好きな仕事を選ぶか大学で学ぶかの選択

もし、すでに就きたい職業や入社したい企業があり、高卒でも従事が可能であれば、大学に通う必要性は低いでしょう。

しかし、「Fラン大学しか選択肢がないなら高卒で就職した方がよい」と考えている場合は、必ずしもそうとは言い切れません。どんな大学であっても、しっかりと学んだり人間関係を築いたりすることで、その後の人生を豊かにできる可能性があります。

高卒で就職し、大卒者よりも4年早く社会に出てキャリアを積んだとしても、統計をみる限り収入面では大卒者を超えるのは難しいでしょう。特別やりたいことがないのであれば、大学へと進学し学歴を積み上げるのも一つの選択肢です。大学へ通えば、少なくとも高卒よりも就職先などの幅は広がります。

やりたい仕事があるなら高卒で就職しキャリアを積み上げよう

いわゆる「Fラン」大学にしか行けないなら、高卒で就職した方がよいのではないかと考えるのは不思議なことではありません。しかし高卒者は、月収も年収も生涯賃金も大卒者と比べると低くなる傾向があります。やりたい仕事があるなら、高卒で就職しキャリアを積み上げるのもよいでしょう。

しかし、そうではない場合はレベルに関係なく大学進学も選択肢の一つとなりえます。長い社会人生活を見据えたうえでの決断が重要です。

出典

日経転職版 【連載 その希望年収、適正ですか?】大卒年収調査2022年版 出身大学別編 平均年収1000万円を超えたのは東大、一橋、東工大
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計労働統計加工指標集2023

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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