強烈な熱を発している太陽の構造はどうしてわかるの?【図解プレミアム 宇宙の話】

太陽の表面の振動から内部の構造を推測

太陽の周囲のコロナは100万度といわれています。そんな星に人類が行くことはできません。ましてや、太陽の内部に探査の手を伸ばすことは不可能といっていいでしょう。では、太陽の内部がどうなっているかを調べるにはどうしたらいいのでしょうか?

実は、太陽の中心部の密度と温度がどれほどのものになり、その環境のなかで水素の原子核がどのようにふるまうのかということは、コンピュータによるシミュレーションなどで計算できました。しかし、それがほんとうに正しいのかどうかはだれにもわかりませんでした。それを調べる手段として登場したのが、太陽の表面に現れる振動を解析する方法です。これが「日震学」です。

地球の内部構造を調べるとき、地震の伝わる速度を用いる方法があります。地震が伝わる速度は地球内部の密度によって異なり、地震波が伝わってきたデータを集めれば、地球内部の構造を推測することができます。日震学の考え方は、これとほぼ同じです。

太陽を観察していくと、ほぼ5分周期で振動することがわかりました。これを「太陽の5分振動」と呼びます。太陽の表面に現れるこの振動を解析することによって、地球と同じように内部構造を推測することができるようになったのです。その結果、核融合を起こしている「中心核」、電磁波でエネルギーを運ぶ「放射層」、半径の30パーセントの深さから表面までの「対流層」、という構造になっていることが確かめられたのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一

「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!

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