珠洲の被災者、棋王戦で駒を提供 藤井八冠「良い対局にしたい」

棋王戦5番勝負第2局の検分で駒の説明をする塩井一仁さん(奥中央)=23日午後、金沢市の北國新聞会館

 将棋の第49期棋王戦の会場となる金沢市の北國新聞会館で23日、棋士が対局室や駒を確認する「検分」が行われた。能登半島地震で自宅が倒壊し、妻を亡くした石川県珠洲市の塩井一仁さん(63)が、がれきの中から見つけ出した駒を提供。棋王の藤井聡太八冠(21)は「特別なものだ。今までより対局を良いものにしたい」と語った。

 塩井さんは2009年以降、金沢での棋王戦の対局でほぼ毎年、駒と将棋盤を提供してきた。藤井八冠と挑戦者の伊藤匠七段は駒を盤上に並べて手触りを確かめた。地震で妻の紀美子さん(64)を亡くし失意の中にいたが、将棋好きな塩井さんを応援してくれていたと思い直し、提供を決めた。

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