坪田譲治文学賞 宮島さんに賞状 岡山で贈呈式、選考委員と対談も

 第39回坪田譲治文学賞(岡山市主催)の贈呈式が23日、岡山芸術創造劇場ハレノワ(同市北区表町)であり、「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)で受賞した作家宮島未奈さん(40)=大津市=に賞状などが贈られた。

 受賞作は主人公の中学生・成瀬あかりが、テレビ中継に映るため閉店を控えた百貨店に毎日通ったり、お笑いコンビを結成して賞レースに挑戦したりと、日々全力でわが道を突き進む物語。常に前向きな姿を生き生きと描いている。

 大森雅夫岡山市長から賞状や副賞100万円を受け取った宮島さんは「私の思考を超えて成瀬が動き出すことがあり、その一瞬一瞬を適切な文章で伝えることが私の役目」と述べた。

 記念行事では宮島さんと選考委員の作家・森詠さんの対談、選考委員の作家五木寛之さんによる講演会があり、約750人が聴いた。

 坪田賞は市出身の児童文学作家・坪田譲治(1890~1982年)を顕彰するため84年に創設。大人と子どもが共有できる優れた作品に贈っており、今回は予備選考を通過した6点を7人の選考委員が審査した。

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