欧州サッカーのユニフォームで目にすることの多い、漢字入りのスポンサーロゴマーク。
最近はギャンブル系を中心に珍しくない漢字ロゴだが、20年ほど前までは圧倒的に少数派。違和感も大きく、見る者に衝撃を与える存在でもあった。
ここでは、その存在が驚きを与えた欧州チームの漢字胸ロゴをご紹介しよう。
インテル
インテル 2005-06 Nike ホーム ユニフォーム
選手:ルイス・フィーゴ
胸スポンサー:倍耐力 轮胎
海外での受け止め方や反応はさて置き、日本のインテリスタやユニフォームファンにとっては超衝撃的だった胸ロゴだ。
誰もがバイタイリキ?と自信なさげに読んだこのロゴの正体は、もちろん当時の胸スポンサー企業「PIRELLI(ピレリ)」。この漢字5文字で「ピレリ タイヤ」と読む。
ピレリ社は2005年に初めて中国に工場を開設。この漢字スポンサーは工場開設記念であり、同時に中国市場を意識したものだった。チームは2005年10月のリヴォルノ戦で倍耐力ユニフォームを初めて着用。その後のシーズンでも登場している。
レアル・ソシエダ
レアル・ソシエダ 2015-16 adidas ホーム ユニフォーム
選手:ミケル・ゴンサレス
胸スポンサー:钱宝
現在は日本代表MF久保建英がプレーしているレアル・ソシエダは、10年ほど前の一時期で胸に漢字のスポンサーロゴを付けていたことがある。
クラブのホームタウンであるサン・セバスティアンは世界屈指の美食の街と知られ、欧米人にとっては有名なリゾート地。漢字のイメージなど皆無なこの街のチームが2014年に中国のIT企業「钱宝」と契約し、4シーズンほど胸に大きな漢字ロゴを付けた。
「钱宝」は2014年にラージョ・バジェカーノとも契約したため、スペイン1部リーグで「钱宝」vs「钱宝」という、ある意味で歴史的な同じ漢字ロゴ同士の戦いが実現している。
エヴァートン
エヴァートン 2002-03 Puma ホーム ユニフォーム
選手:ウェイン・ルーニー
胸スポンサー:科健 KEJIAN
2002-03シーズンのエヴァートンには2つの歴史的な出来事があった。ひとつはウェイン・ルーニーが16歳でトップチームデビューを飾り、その非凡な才能を見せつけて公式戦8得点を記録したこと。そしてもうひとつが胸ロゴ「科健」の登場だ。
「科健」は中国の電気・通信関連企業で、エヴァートンとは2002年に2年間の胸スポンサー契約を締結。そして同じ時期にクラブは2人の中国人選手(李鉄、李瑋峰)をローンで獲得している。なお、同社は2013年に破産し消滅している。
それまで欧州のチームでは見たことのなかった漢字スポンサーは、日本の欧州サッカーファンに軽く衝撃を与える。欧州のトップリーグにおける漢字スポンサーの先駆けであり、チャイナマネーの勢いを実感した契約だった。
リヴァプール
リヴァプール 2009-10 adidas ホーム ユニフォーム
選手:ディルク・カイト
胸スポンサー:嘉士伯
リヴァプールのユニフォームで屈指の人気を誇る胸スポンサーロゴといえば、デンマークのビールブランド「Carlsberg(カールズバーグ)」。この中国語版である「嘉士伯」ロゴが2010年に登場している。
この漢字ロゴは中国市場を意識したものでもあるが、最大の目的は2010年5月1日から10月31日まで中国・上海で開催された上海万博に向けたPRの一環。同社はデンマーク館でビールを提供していた。
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欧州チームの漢字スポンサーロゴは、少なくとも当時は日本のユニフォームファンにあまり好まれないものだった。しかし、この「嘉士伯」はロゴのデザインがたいへん秀逸で人気に。これほど人気の漢字胸ロゴは他に無いかもしれない。
「嘉士伯」ロゴを付けたユニフォームは、上海万博の開幕翌日にあたる2010年5月2日のプレミアリーグ第37節チェルシー戦で着用。2009-10シーズンのホーム最終戦だったが、試合は0-2で敗れている。