米、ロシアに大規模追加制裁 500超の団体・個人 活動家死亡も言及

Daphne Psaledakis David Brunnstrom

[23日 ロイター] - 米政府は23日、ウクライナ全面侵攻開始から2年になるのに合わせ、ロシアに対する大規模な追加制裁を発表した。金融や防衛、資源部門などの500を超える団体や個人を対象としたほか、反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の死亡への関与が疑われる当局者も制裁リストに加え、ロシアに対する圧力を強める。

財務省と国務省は声明で、制裁措置はロシア独自の決済システム「MIR(ミール)」のほか、ロシアの金融機関、軍事産業基盤、将来的なエネルギー生産などを対象としたと表明。制裁逃れにも対応する。

バイデン大統領は声明で、ウクライナでの戦争に加え、ナワリヌイ氏の死亡に対する責任を問うとし、「ロシアのプーチン大統領は国外での侵略と国内での抑圧に対し、確実に一段と厳しい代償を払うことになる」と述べた。

イエレン財務長官は声明で、ウクライナへの支援を継続しなければならないとし、「プーチン大統領の攻撃から自衛する手段をウクライナに提供するために、米議会が世界中の同盟国とともに立ち上がることが重要だ」とした。

ロシアのアントノフ駐米大使は米国の追加制裁措置について「ロシアの内政に干渉しようとする新たな皮肉的な試み」と非難した。

<金融部門>

財務省は、決済システムのミールを運営する国営の「国家決済カードシステム(NSPK)」を制裁対象に追加。声明で「ロシア政府がミールの使用を拡散させていることで、制裁逃れのほか、断絶された国際金融システムとのつながりを再構築するための金融インフラの構築が可能になっている」とした。

このほか、SPB銀行を含む銀行、投資会社、ベンチャー・キャピタル、フィンテック企業など十数社も制裁対象に指定。SPB銀行は、ロシア第2の証券取引所で外国株の売買を専門とするサンクトペテルブルク証券取引所(SPB)の傘下にある。

<資源部門、制裁逃れ>

ロシアの将来的なエネルギー生産と輸出を標的にするため、今回の措置で昨年11月に導入したロシア北極圏のLNG(液化天然ガス)開発事業「アークティックLNG2」に対する制裁を強化。アークティックLNG2向けのタンカー建造への関与が疑われる造船所「ズベズダ」も対象とした。

このほか、西側諸国が導入した対ロシア制裁逃れに関与している疑いがあるとして、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、カザフスタン、リヒテンシュタインに拠点を置く企業も制裁対象とした。

<反政府活動家ナワリヌイ氏>

国務省は、反政府活動家ナワリヌイ氏が今月16日に収監先の刑務所で死亡したこと受け、同氏の死亡への関与が疑われるロシア連邦刑執行庁(FSIN)の3人の当局者を制裁対象とした。

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