F1村を離れた前フェラーリF1代表のビノット、イタリア企業テキサ社の新設部門責任者に就任

 2022年限りでスクーデリア・フェラーリのチーム代表から退いたマッティア・ビノットはF1業界を離れ、イタリアの工業製品メーカーであるテキサ・インダストリーズに新設されたEパワートレイン部門のマネージング・ディレクターに就任した。
 
 テキサ社は、多様な機器の設計、工業化、製造のリーディングカンパニー。その事業の対象は、マルチブランド診断ツール、排気ガス分析装置、空調メンテナンス用ステーション、乗用車・オートバイ・トラック・農業用車両・建設用車両・ボート用の遠隔診断用装置など多岐にわたる。

 前フェラーリF1チーム代表は今回、そのテキサ社に新設されたEパワートレイン部門のマネージング・ディレクターに任命され、取締役会にも加わった。同社の発表によると、ビノットの起用の目的は「新しく立ち上げたEパワートレイン部門を、高性能スポーツカー向けのエンジン、インバーター、パワーユニット、関連ソフトウェア、アクスル一式など、自動車の電動化に関連する新しい自動車部品の設計、生産、供給において、明確に世界的な基準となる存在にすること」であるとのことだ。

 一方のビノットは同社の広報を通じ、次のようにコメントしている。

「私がこれまでの人生で培ってきた競争経験に加え、新しいモビリティの最先端技術を特徴とするイタリアの卓越性を構築する、というテキサ社のプロジェクトの戦略的大胆さに惹かれた」

 また同氏は、テキサ社が「世界レベルで基準となる技術標準としての地位を確立するつもり」であると述べ、「そしてこれは、巨額の投資資源を動員し、最高の人材をイタリアに集中させたおかげであり、イタリアには、保存され、更新され、そして今も再出発するであろう恐るべき自動車文化がある」と付け加えた。

 このプロジェクトの野望を考えると、ビノットがこのチャンスをF1復帰の道を見つけるまでの一時しのぎに使うとは考えづらい。おそらく彼は、スクーデリア・フェラーリを率いていた3年間のように、チーム代表とテクニカル・ディレクターの役割を兼任することを他のチームが受け入れてくれないことを悟り、それ以外の状況は自身を格下げすることになると受け入れて、F1に背を向けることを選んだのだろう。

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