【日本三大瀑布(滝)】栃木「華厳滝」・和歌山「那智の滝」もうひとつは?瀑布と滝の違いも解説

瀑布と滝の違いをご存じでしょうか? 一般的に大きな滝のことを「瀑布」といいます。一方の「滝」は大小問わず用いられる言葉です。さて、日本三名瀑ともいわれる日本三大瀑布(滝)として挙げられるのは、栃木県日光市の「華厳滝」、和歌山県東牟婁郡那の「那智の滝」、茨城県久慈郡の「袋田の滝」です。今回は、それぞれの滝の特徴や魅力をご紹介します。なお、日本三大瀑布(滝)を決めた人は誰なのかわかっていません。

大迫力!水が高さ97mの岸壁を一気に落下する様が見られる「華厳滝」(栃木県日光市)

48もの滝を有する栃木県・日光のなかでも、とりわけ有名なのが「華厳滝」です。中禅寺湖を流れ出た大尻川の水が、高さ97mの岸壁を一気に落下する様は迫力満点! 1,200年前にこの滝を発見したのは、日光開山の祖である勝道上人(しょうどうしょうにん)といわれています。

「華厳」という名前の由来は、近くにあった華厳寺という寺の名前から取ったという説や、華厳経から名付けられたという説があります。

滝の下流にはいくつかの滝つぼの跡があり、滝は現在も少しずつ後退しているそうです。1986年には滝上部の岩壁が大きく崩れたことも。そのため、 1990年から滝上層の突起部の補強工事が行われました。

外せないのは、華厳滝エレベーターで行ける観爆台。間近で滝壺を眺めることができ、爆音とともに水しぶきが弾け飛ぶ様子は圧巻です。観瀑台の右手には巨大な「柱状節理」も! さらに、明智平から滝全体を見渡すのもおすすめです。

加えて、華厳滝エレベーターの乗り場まで約1分の場所には、食事や休憩ができたり、お土産を購入できたりするスポットがあります。生新粉を使用した団子に甘めのみたらしタレをからめて焼いた「華厳だんご」、ゆばの食感のアクセントが効いた「ゆばコロッケ」などを味わえますよ。

また、四季折々の顔が見られるのも華厳滝の大きな魅力。5月には新緑を、6月には何匹ものイワツバメが滝の周辺を飛び回る様子を、10月には紅葉と滝の美しいコラボを、1月から2月にかけては滝全体がブルーアイスに彩られた姿を拝むことができます。

雄大な華厳滝は、周辺の自然に溶け込んでいるように見えますが、その存在感は際立っており、見る人を魅了し続けています。日光を訪れたら、華厳滝にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。

華厳滝

住所:栃木県日光市中宮祠

電話:0288-55-0030(華厳滝エレベーター)

営業時間:3月1日~11月30日8:00~17:00

12月1日~2月28日9:00~16:30

※営業時間は変動する場合がありますのでご了承ください

料金:大人(中学生以上)570円、小学生340円、小学生未満無料

交通アクセス:JR・東武「日光駅」から「東武バス中禅寺温泉行き」乗車して約50分、「中禅寺温泉」バス停下車、徒歩約5分

公式サイト:https://www.kegon.jp/

滝壺の水を味わえる、古来より熊野信仰の中心地のひとつ「那智の滝」(和歌山県東牟婁郡)

落差133m、銚子口の幅13m、滝壺の水深10mの「那智の滝」は、和歌山県の那智原始林に点在する「那智四十八滝」のひとつです。那智山中の烏帽子岳・大雲取山・妙法山・舟見峠を源流とする4本の渓流を集め、流れ落ちています。

古来より熊野信仰の中心地のひとつで、1,300年前から滝行が行われてきました。銚子口の岩盤に3つの切れ目があり、三筋になって落下することから、「三筋の滝」とも呼ばれています。

那智の滝は、浸食に強い熊野酸性火成岩類の流紋岩のほか、比較的柔らかい熊野層群の地層の境界に形成されています。

参道を抜け、お滝拝所へ進むと水しぶきと涼しい風を感じます。道中には延命長寿の御利益があるとされる御神水が湧いていて、滝壺の水を味わうことも可能です。

荘厳な雰囲気が漂う熊野の森と、滝のコントラストは格別。晴れの日はもちろん、早朝や雨の日に訪れるのもおすすめです。

さらに、那智の滝は国指定無形民俗文化財である「那智の扇祭り」の中心でもあり、那智の田楽が奉納されます。

那智の扇祭りとは、毎年7月14日に行われる例大祭です。この祭りでは、熊野の神々が現在鎮座する熊野那智大社からもともと鎮座していた御滝前の飛滝神社へ1年に1度、里帰りします。その際、重さ50㎏以上もある大松明の炎が参道いっぱいに乱舞し、清めるのです。一度は見てみたいお祭りですね。

那智の滝

住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山

電話:0735-55-0321(熊野那智大社)

交通アクセス:JRきのくに線「紀伊勝浦駅」からバスで30分「那智の滝前」下車、徒歩5分

公式サイト:https://kumanonachitaisha.or.jp/

大岩壁を四段に落下!鎌倉時代に訪れた西行法師も絶賛した「袋田の滝」(茨城県久慈郡)

高さ120m、幅73mの大きさを誇る茨城県の「袋田の滝」は、滝の流れが大岩壁を四段に落下するのが最大の特徴です。そのため、「四度(よど)の滝」とも呼ばれています。

鎌倉初期の歌人・僧である西行法師(さいぎょうほうし)がこの地を訪れた際、「花もみち 経緯にして 山姫の 錦織出す 袋田の瀧(この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない)」と詠い、この滝を絶賛したそうです。袋田の滝は2015年に国の名勝に指定されたほか、同年に恋人の聖地にも選定されました。

この滝は、水のつくり出すラインが白糸のようになめらかなのが魅力です。木々の緑に彩られる春、涼が感じられる夏、紅葉が滝を鮮やかに縁取る秋、滝が真っ白に凍る冬と、1年を通してさまざまな表情を見せてくれます。

滝を間近で鑑賞したいのなら「袋田の滝トンネル」へ。トンネルの奥に設置された観瀑台は2台あり、第一観瀑台からは滝を下から見上げることができ、第二観瀑台からは滝を上から見下ろすことができます。違う角度から、流れる水の迫力とスケールを体感できますよ。さらに、滝川の対岸へ渡る吊り橋への通路も。この吊り橋からは、悠々とした滝の姿を眺められます。

また、冬季にはライトアップイベント「大子来人~ダイゴライト~」を開催。光のトンネルを抜けると、雄大に落ちる滝の流れが、墨絵のように浮かび上がる光景を目にすることができます。

袋田の滝

住所:茨城県久慈郡大子町袋田3-19

電話:0295-72-4036(袋田観瀑施設管理事務所)

営業時間:

5月〜10月 8:00〜18:00

11月 8:00~17:00

12月~4月 9:00~17:00

観瀑施設(袋田の滝トンネル)利用料:大人300円、子ども(中学生以下)150円

交通アクセス:JR水郡線「袋田駅」からバスで約10分、「滝本」下車徒歩約10分

公式サイト:https://www.town.daigo.ibaraki.jp/page/page001474.html

[参考]

日光旅ナビ|日光市観光WEB

栃木旅ネット|公益社団法人栃木県観光物産協会

わかやま観光|和歌山県公式観光サイト

那智勝浦観光サイト

和歌山県世界遺産センター

南紀熊野ジオパーク

大子町観光協会

大子町

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