年収300万円ですが「年間休日100日・毎日残業」の生活に疲れました。結婚して「専業主婦」になりたいのですが、相手の年収はどのくらい必要ですか?

1ヶ月の生活費から必要な年収を算出

総務省統計局の家計調査をもとに、世帯主の世代別の生活費に応じて必要な年収を逆算してみましょう。以下の生活費は、夫婦と子ども1.5人程度の家族構成で計算されています。

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34歳未満:約26万円
35歳以上40歳未満:約28万円
40歳以上45歳未満:約31万円
45歳以上50歳未満:約33万円
50歳以上55歳未満:約37万円
55歳以上60歳未満:約35万円
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専業主婦(夫)は数年でよい場合

取りあえず配偶者が34歳まで専業主婦(夫)でいたい場合には、年収400万円程度(年収に対する手取り割合80%の場合)あれば、生活費26万円はまかなえる計算になります。

ただそれでは収支ギリギリなので、貯蓄や旅行もしたいのであれば、プラス100万円で年収500万円は最低必要なのではないでしょうか。老後資金や教育費はどうするのかという話にもなりますが、専業主婦(夫)を数年した後は働くのであれば、それからでも準備できるでしょう。

子どもの入学まで専業主婦(夫)の場合

末子が入学する年齢となると、40歳前後になる人が多いでしょう。その場合、月々の生活費は約28万円必要となっているので、年収を逆算すると420万円程になります。ある程度の貯蓄まで考慮すると、やはり年収500万円は欲しいところですね。

それでも生活にあまりゆとりはないでしょう。専業主婦(夫)を終了したら頑張って働いて、教育費と老後資金を急ピッチで貯める必要があります。

生涯専業主婦(夫)でいたい場合

結婚後は一生、専業主婦(夫)でいたい場合には、配偶者の年収から教育費と老後資金を準備しなければなりません。

まず、30歳で結婚したと仮定すると60歳までにかかる生活費の合計は、(約26万円+約28万円+約31万円+約33万円+約37万円+約35万円)×12ヶ月×5年=1億1400万円です。

これに老後資金2000万円と教育費を1000万円プラスすると1億4400万円になるので、30年で割ると480万円の年収が必要という計算になります。机上の空論ではありますが、年収500万円を30年維持してくれる人と結婚すれば、60歳まで専業主婦(夫)でいられるようです。

しかし、この計算にはマイホームの購入や修繕費、旅行費用などの臨時的支出は考慮されていません。大きな事故なく順調に進む人生のうえで、日々節約に努め、つつましい生活を送ることが大前提となっている点に注意しましょう。

【参考】希望する夫婦の世帯スタイルは?

株式会社ディスコが、2023年に卒業直前の大学生または大学院生に聞いた「キャリアプラン・ライフプランに関する調査」によると、専業主婦世帯を希望する人の割合は男子で14.6%、女子で7%となっており、専業主夫世帯を希望するのは男子1.0%、女子で1.3%と、全体の80%近くの人は共働きを希望しているようです(図表1)。

これからの時代は、年収要件だけではなく、専業主婦(夫)を養う覚悟のある人を探すのにも苦労しそうですね。

図表1

株式会社ディスコ 卒業直前に聞いた「キャリアプラン・ライフプランに関する調査」

まとめ

専業主婦(夫)になれる配偶者の年収は500万円が目安になりそうです。ただ、収支ギリギリの計算である点に注意しましょう。子どもに十分な教育費と自分たちの老後資金の準備、定期的に旅行などの娯楽を楽しみたい場合には、さらに数百万円が必要になるでしょう。

また、共働きが当たり前になりつつある現代においては、年収にかかわらず、「専業主婦(夫)になっていいよ」と言ってくれる人と結婚するハードルも高そうですね。

出典

総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年―
株式会社ディスコ 卒業直前に聞いた「キャリアプラン・ライフプランに関する調査」

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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