奨学金の返還を始めた新卒です。今更ですが、借りた金額が多いのか少ないのか判断がつかず不安です…。周りはどのくらい借りているのでしょうか?

借入総額の平均は310万円

労働者福祉中央協議会が2022年9月に実施した「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」によると、奨学金を利用した人の平均借入額は310万円でした。金額別では「200~300万円未満(25.8%)」が最も多く、その後に「100~200万円未満(19.5%)」と「300~400万円未満(17.0%)」が続いています。

ただし、310万という数字はあくまで平均であり、借入額が多い人の影響を強く受ける点には注意が必要です。

また、毎月の平均返済額は1万5226円です。産労総合研究所の「2023年度 決定初任給調査」によると、新卒の初任給は大卒が21万8324円、高卒が17万9680円ですから、毎月1万5226円の返済は多くの人にとってそれなりの負担となるでしょう。実際、返済の負担感について、「余裕がある」と答えた人の割合は約1割にとどまっています。

240万円の奨学金を返すには約13年かかる

続いて、240万円の奨学金をすべて返済するには、どのくらいの期間が必要なのかを確認してみましょう。奨学金の種類が有利子か無利子かによっても変わりますが、ここでは無利子のケースを想定して考えます。

平均返済額の1万5226円を毎月返し続ける場合、1年で約18万円の返済が可能です。240万円をすべて返済するには、約13年必要になります。13年と聞くと途方もない目標のように見えるかもしれませんが、返済期間の平均は14.5年です。240万円の奨学金を無利子で借りた場合、平均よりも短い期間ですべて返済できる計算になります。

返済が難しいときはどうする?

奨学金の返済が滞ってしまうと、延滞金の発生や保証人への催促などのトラブルに発展する可能性があります。返済が難しいからといってそのまま放置するのではなく、早めに必要な手続きをするように心がけましょう。

具体的には、「毎月の返済額を減らす」「返済を待ってもらう」などの方法があります。少しでも返せそうなら通常返済額の2分の1だけ返す、一時的に返せないなら返済を待ってもらうといったように、自分の状況に合わせた方法を選びましょう。

制度を利用しても最終的に返済する金額は変わりませんが、適用期間には上限が設けられています。生涯にわたって返済額を減額したり、先送りにしたりできるわけではない点に注意しましょう。

制度をうまく活用して少しずつ返済しよう

無利子であれば、例えば200万円台の奨学金の場合、毎月滞りなく返し続ければ約13年で全額返済できますが、病気やけが、災害などで経済的な余裕がない時期もあるかもしれません。返済が難しい場合は、減額返還制度や返還期限猶予を活用し、無理のない範囲で少しずつ返していきましょう。

出典

労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書
産労総合研究所 2023年度 決定初任給調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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