無実の息子を取り戻す!“ドイツのオカン” 1786日の実話に基づく物語『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』

『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』©︎2022 Pandora Film Produktion GmbH, Iskremas Filmproduktion GmbH, Cinéma Defacto, Norddeutscher Rundfunk, Arte France Cinéma

悪名高きグアンタナモに収監された無実の息子を取り戻すために闘ったドイツの母の実話を元に描き、「第72回ベルリン国際映画祭」で銀熊賞2冠(主演俳優賞、脚本賞)を受賞したドイツ映画『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(原題:Rabiye Kurnaz gegen George W. Bush)』が、5月3日(金)より公開が決定。このたび、予告編とポスタービジュアルが解禁となった。

ドイツの“オカン” 1786日の実話に基づく物語

2001年、アメリカ同時多発テロのひと月後。ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民一家の母ラビエ・クルナスは、長男のムラートが旅先で“タリバン”の嫌疑をかけられ、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に収監されてしまったことを知る。

無実の息子を救うために奔走するラビエだったが、警察も行政も動いてくれない。藁にもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルト・ドッケの元を訪れたラビエは、アドバイスを受けアメリカ合衆国最高裁判所でジョージ・W・ブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすことになる……。

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監督を務めたのは、『グンダーマン 優しき裏切り者の歌』(18)などで知られるドイツの俊英アンドレアス・ドレーゼン。収監中の5年間を綴ったムラート・クルナスの著書を読んだドレーゼン監督は、訴訟も裁判もないまま収容所に送り込まれ、5年も出られなかったという事実に憤りを感じ映画化を計画。しかし、あまりにも悲惨な内容に二の足を踏んでいた。そんな中で出会ったムラートの母ラビエ・クルナスの一癖も二癖もある天真爛漫なキャラクターに魅せられ、作品の方向性が決定。ドイツのコメディアン メルテム・カプタンが主演を務めたことで、シリアスなテーマにもかかわらずコメディタッチで軽妙な快作が誕生することになった。

ラビエ本人と同じくトルコ系ドイツ人であるカプタンは、アメリカでミュージカル俳優として活動したのち、ドイツに拠点を移し人気コメディアンにまで上り詰めた経歴を持つ。「エリン・ブロコビッチ風のずうずうしさを盛り込んだ好感の持てる主役(DEADLINE)」「絶妙な間合いと温かさを役にもたらした真の秘密兵器メルテム・カプタン(The Hollywood Reporter)」などと評され、ドイツ映画デビュー作にして初主演となった本作で、「第72回ベルリン国際映画祭」銀熊賞(主演俳優賞)受賞の快挙を成し遂げた。さらに、「ベルリン国際映画祭」では銀熊賞(脚本賞)のW受賞も果たし、ドイツで最も権威のある「ドイツ映画賞」では作品賞(銀賞)、主演女優賞、助演男優賞の3部門で受賞した。

ポスタービジュアルは、まっすぐと前を見つめる主人公ラビエ・クルナスの姿を大きく捉えたデザイン。「オカン、都へ行く。」というキャッチコピーのとおり、親しみとユーモアにあふれたラビエを観たら「オカン」と呼びたくなってしまうはず。ムラートを探すシーンから始まる予告編は、グアンタナモ収容所の場所すら知らなかったラビエが、弁護士のドッケと出会い、アメリカのワシントンを訪れる様子が描かれている。いつも元気で時に厚かましい母ラビエと冷静な弁護士ドッケのコンビが、立場を超えて理解し合い、協力していく姿は、観るものに爽やかな感動を与えるに違いない。

『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』は5月3日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

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