田中圭×吉田鋼太郎、『おっさんずラブ』シリーズ集大成の涙の抱擁 “笑顔”の最終回を期待

『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)が3月1日に最終回を迎える。セミファイナルとなる第8話は、余命1カ月を宣告された武蔵(吉田鋼太郎)が中心となる物語だ。

終活について考え始めた武蔵は、エンディングノートを書き始めていた。そんな折、春田(田中圭)と牧(林遣都)は武蔵に家政夫としての契約を終了したいと告げる。春田も料理に、掃除にと、徐々に家事が板についてきたことからの卒業だ。武蔵の鞄から落ちたエンディングノートに、「はるたんと雪遊びしたい(+牧も)」「はるたんとホームパーティーしたい(+牧も)」といった死ぬまでにやりたい100のことがびっしり書いているのを見てしまった春田は困惑しながらも、武蔵の体調を気遣う。身体の異変を察知していた蝶子(大塚寧々)、ちず(内田理央)らと話し合い、春田は武蔵をホームパーティーに誘うのだ。

余命1カ月を宣告されてもなお、家政夫の仕事に前のめりな武蔵は、春田宅での最後の出勤日を迎えていた。先に帰ってきたのは牧。「さしでがましいとは思うのですが」と前置きしながら、武蔵は家事のコツやレシピをまとめた「ムサシのあんちょこ」を牧に手渡す。が、間髪を入れずに「あ、大丈夫です」と断る牧。少しシュンとしながらも、武蔵は以前にも注意していた塩分の摂りすぎを心配していた。武蔵の熱意に押し切られるようにして、牧は武蔵から味噌汁の作り方を習うこととなる。

それは同時に武蔵と牧の“最後の”キャットファイト開戦を告げてもいた。キッチンで武蔵と味噌汁を作る牧。味見して「美味しい」と笑みを見せる牧に、武蔵が力強く小突くと、それに牧も応戦。肩アタックのやり返しとなり、吹っ飛ぶ武蔵はそのままドア(セット)に激突。その衝撃で破壊されたドアに思わず吹き出す武蔵と牧、というか吉田鋼太郎と林遣都。武蔵は割烹着を牧に託し、「本日は黒澤武蔵が担当致しました」と最後の家政夫としての仕事を終えた。

翌日、ホームパーティーが春田宅でスタート。テーブルには和泉(井浦新)やマロ(金子大地)、武川(眞島秀和)らが持ち寄った1品が並ぶ中、重箱を持ってきたのは武蔵だ。もったいぶりながらも、蓋を開けるとそこには「はるたん」の顔があしらわれたキャラ弁が。横には小さく「まき」も並んでいる。死ぬまでにやりたいことの一つを叶え、笑顔の武蔵が幸せそうで、逆に観ていてつらい。

武蔵はホームパーティーに重箱とDVDを持ってきていた。そこに収録されていたのは春田、牧にそれぞれ向けた最期のメッセージ。

「はるたんは太陽みたいな人だから。眩しくて、キラキラしていて。そして、最後の最後まで優しくて。そんなはるたんが僕は好きでした。僕は今でもはるたんが好きです」「さようなら、はるたん」

涙を拭きもせずにリビングを飛び出していく春田。脳裏に蘇るのは武蔵との思い出、笑顔の数々。春田は遊歩道に武蔵を見つけ、「部長!」と叫び走って抱きつく。すがりつく春田を何度も押し返し、武蔵は「俺だってさ! もっと生きたいよ! もっと生きて、はるたんと牧の幸せをそばでずっと見ていたいよ……」と号泣しながら、その場に崩れ落ちる。「でも、それは叶わないことなんだよ」と叫ぶ武蔵を抱きしめる春田。慟哭しながらの魂の演技に、吉田鋼太郎と田中圭がこれまで積み重ねてきた芝居の数々もリバイバルするシーンだった。

その1カ月後、武蔵はまだ生きていた。リビングで青汁と飲み、「なぜだ、なぜ俺はこんなに元気なんだ」と武蔵はつぶやき、最終回の予告へ。誤診なら誤診でみなが幸せになる結果である。一方で、和泉と菊之助(三浦翔平)の恋の行方も気になるところ。最終回のタイトルは「WE ARE FAMILY!!」。

(文=渡辺彰浩)

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