日本で高齢者を助けたら…―華字メディア

日本の華字メディア・中文導報に、日本で高齢者を助けた女性の文章が掲載された。写真はオムライス。

日本の華字メディア・中文導報に、日本で高齢者を助けた女性の文章が掲載された。以下はその概要。

昼食を食べにあるうどん店に行くと、駐車場はすでにいっぱいだった。夫は空きスペースを探しに行き、私と叔母は夫を待ちながら話をしていた。その時、つえをついた白髪交じりの高齢の女性とその娘が車から降りてきた。駐車場から店までは50メートル足らずの距離だ。娘は足に力の入らない母親を左側から支えて店に向かおうとしていた。

私はその場にいたが、慎重な性格のため積極的に手伝いはしなかった。中国では過去に「彭宇(ポン・ユー)事件」(転んだ高齢者を助け起こして病院に送り届けた彭宇さんが、逆に「彭さんに突き飛ばされて転んだ」と告訴された事件)が起きている。それにここは日本で、余計なことをするよりは控えめにした方がいいのだ。日本人はとりわけもめ事を恐れる。

ここで叔母が口を開き、自分がこの大変な思いをしている母娘を手伝うと言った。だが、叔母は80歳で足に痛みを抱えている。事故でも起きたらどうすればいいのか。私は慌てて叔母とバトンタッチした。

私が支えたのは女性の右腕だ。それまで分からなかったが、女性を支えてみると全身の重みが私の方にかかって足がよろめいた。女性の娘は「すみません」と謝りながら左側を支えた。数十メートルの道のりだったが、1世紀も歩いた気分だ。

店に入って女性はオムライスを注文した。見たところ、オムライスが好物のようだ。

別れる前、私は女性の娘に「娘さんですか」と尋ねた。60歳前後の彼女は苦笑いをして「そうです」と答えた。女性は90歳で、認知症を患っているという。私が「本当にすごい娘さんですね」と褒めると、彼女は少しきまり悪そうに「私だってよく腹を立てるんですよ」と言った。だが、私はそれを聞いてもうなづいて称賛を送った。娘も人間なのだから感情が乱れる時だってある。それでも好物のオムライスを食べに母親を外食に連れてくるのだ。

女性たちが車に乗って帰る時、娘はずっと車の中から私に向かってお礼の会釈を続けていた。(翻訳・編集/野谷)

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