ニホンミツバチと梅の「みつ」な関係知って ワーケーションで巣箱作り、和歌山・みなべ町

ミツバチの巣箱作り体験会の参加者に、巣箱について説明する中井昭さん(左)と貴章さん(左から2人目)親子=和歌山県みなべ町筋で

 梅の栽培に重要な役割を果たすニホンミツバチの巣箱を作る体験会がこのほど、和歌山県みなべ町内で開かれた。梅農家が講師を務め、巣箱の製作を通して梅とミツバチの関係性などを県外から訪れた参加者に紹介した。

 一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会の主催。協議会がウェルビーイング(心身ともに良い状態)をテーマに県内で開いているイベントの一環。協議会は世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」のエリア内で「1次産業ワーケーション」に取り組んでおり、その一つとして巣箱作りに挑戦した。

 体験会は、みなべ町の若手農業者でつくる「梅郷クラブ」でニホンミツバチの保全活動をしている中井貴章さん(32)=筋=方で開かれ、貴章さんと父の昭さん(68)が指導した。

 募集に応じ東京都や兵庫県などから訪れた11人と、協議会の人材育成プログラム「TUNAGU(ツナグ)プロジェクト」の研修参加者12人の計23人が参加した。

 巣箱にはスギ板を使った。虫食いなどを防ぐために表面をバーナーで焦がしてから組み立てた。幅と奥行きが各25センチ、高さ20センチの箱を、底板の上に3段積み重ねて1セットにした。

 最上部の天板の裏にはミツバチを誘うために蜜ろうを塗った。また、箱の内部には巣が落ちないように支える針金を渡した。

 参加者は、工具を使って作業をしながら、巣箱の仕組みやニホンミツバチの習性について興味深そうに質問。中井さんらは工夫した点なども含め、丁寧に答えていた。この日は全部で5セット作り、中井さんの梅畑に運んで設置した。

 昭さんは「梅農家がニホンミツバチを保全するために活動していることを知ってもらえる良い機会になり、うれしい」と話した。

 協議会は、都市部と地方の関係人口が増えることを目指している。協議会の島田由香代表理事は「梅栽培に必要な作業を手伝わせてもらうことで、参加者が地域に対する興味や関心を高めたり、双方の交流が活発化したりすることにつながっている」と話している。

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