角田裕毅、VCARBの「フロントの力強さ」に満足感を示す一方でリアの要改善を指摘! 専門メディアは「間違いなく中団勢に入れる」

F1はバーレーン・サクヒールの「バーレーン・インターナショナル・サーキット」で3日間にわたって実施されていたプレシーズンテストの全日程を終了した。

ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)は現地2月23日の最終日、2日目までとは逆にダニエル・リカルドが前半、角田裕毅が後半の走行を担当し、前者は70周回(ベストラップは1分37秒015)、後者は53周回(1分30秒775)をそれぞれ重ねている。

角田は最終日の5番手、3日間通しても7番手に入るベストタイムを計測(タイヤはC4を装着)。今テストで全体17番目となる計157周(849.684km)を走破した後、彼はチームの公式サイトを通して、「テストはかなりスムーズに進みました。コースに幾つかの問題が生じたため、プログラムが正確に進んだわけではありませんが、それらにも上手く対応できました」とポジティブに振り返り、以下のように続けた。

「昨年に比べて車が大きく前進していると感じられたので、今のところ満足しています。 バランスも良くなり、特にフロントに力強さを感じました。リアに関してはまだ改善する必要がありますが、正しい方向に進んでいます。ここ数日間で何周も走行しましたが、良いデータを収集し、車の限界を見つけられるなど、良い経験でした。タイムシートを見ると、我々は最後尾ではありませんが、他のチームと比べて自分たちがどの位置にいるのかを知るのは難しいので、来週からレースが始まるのが楽しみです」

一方、この3日間で角田を大きく上回る総ラップ数210周(1136.52km/全体3番目)を記録したリカルドは、「テストは順調だったと思うし、我々は間違いなく昨年から車は改善されている。多くの周回を完了し、かなりフィットしていると感じた。コース上に問題があり、走行できないのではないかと心配したが、幸運にも実施できた」と語り、この3日間を総括している。

「1日目と2日目はショートラン、今日はレースシミュレーションを行なった。パフォーマンスに関しては、我々が期待していたところに到達していると思う。中団グループで戦うことを目標にしているので、得たものを最大限に活かしていきたい。全体的にテストはスムーズに進んだので、何の不安もなくここを後にできる。我々はある程度の利益を上げ、自分たちがどこにいるのかを把握したが、予選Q3進出とポイント獲得を確実にし、安定して戦いたいのであれば、もう少し確認が必要だろう」
チームとしては全体6番目となる367周の走行で、ラップタイムでは昨年よりも0.486秒も改善されたというRB。チーム代表のローラン・メキーズは、「前向きなスタートを切り、シーズン中の成長の鍵となる堅実なプログラムを実行できた。開幕戦(バーレーン・グランプリ)はすぐに始まるが、目指すレベルでこれに備えるためには、まだやるべきことは多くある。ダニエルとユウキ、そしてファクトリーのスタッフの、これまでの勤勉さと素晴らしい精神に感謝したい。レースを始めるのが待ちきれない!」との声明を発した。

また、レースディレクターのアラン・パーメインも、「間違いなくポジティブな3日間だった。車は非常に信頼性の高い走りを見せてくれたし、膨大な量のデータも収集できた。我々は品質テストに重点を置き、時間をかけてセットアップの変更を行ない、車を理解できた。今日はそれに幾つかのロングランを組み合わせ、ダニエルはレースディスタンスを走行したが、完璧にプログラムは進んだ。これから数日かけて収集したデータを分析し、開幕戦だけでなく、今後のレースにも活かしていきたい」と、テストへの好印象を明かした。
英国の日刊紙『The Telegraph』から「赤、白、青のカラーの使い方が非常にクレバーであり、カーナンバーの書体もボーナスポイント」として、「VCARB01」のカラーリングがキックザウバーに次ぐ全体2番目の評価を得たRBだが、そのパフォーマンスやポテンシャルについては、各メディアが様々な見解が示している。

同国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「水曜日(初日)の朝のRBは少し不安定なように見え、ドライバーがコーナー中盤でスロットルを踏もうとすると、リアエンドがふらつき、それが正確さを欠いた状態を強いていたが、翌日には良いターンインができるようになり、コーナーを通して理性的なグリップがあり、スピードを維持が可能になった。少しアンダーステア傾向があるが、間違いなく中団グループに入れる車のようだ」と、その進歩ぶりを強調している。

対して、『PLANETF1.COM』は、「リカルドは3日間、ずっと素晴らしい調子であり、VCARB01が強い車であるという事実に支えられてきた。とくに水曜日には、VCARBの適応性に感心させられたものだ。しかし、イタリア・ファエンツァを拠点とするこのチームは、他のチームよりも成功が早かったようで、金曜日の夕方までには、ライバルに対して持っていた明らかな優位性は薄れている」と綴った。

チーム内部でも、ピーター・バイエルCEOらが中長期での進歩を目標に掲げ、今季序盤に関しては苦戦もあり得るとし、リカルドも「慎重に見る必要がある」と指摘しているが、間もなく開幕する新シーズンにおいて、新生チームがいかなるスタートを切るかは、最大の興味のひとつだと言えるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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