転職先で毎日21時まで「サービス残業」を強要されています。「タイムカード」すらないのですが、どうすれば残業代を請求できますか? 業務日誌などは証拠になるでしょうか?

毎日3時間サービス残業した場合の未払い残業代

まずは未払い残業代がいくらになるのか計算してみましょう。勤務時間は9時から18時、月所定労働日数は20日、月給32万円と仮定します。

__1時間当たりの残業代
32万円÷8時間÷20日×1.25(賃金割増分)=2500円__

1ヶ月当たりの残業代
2500円×3時間×20日=15万円

1ヶ月で15万円もの残業代が未払いとなっている計算結果になりました。これが1年間続いたとすると180万円です。これだけの労働の対価をドブに捨てていると思うとゾッとするのではないでしょうか。

タイムカード以外に証拠になるもの

タイムカードは従業員の出社、退社時間が継続的に記録されるものであり、未払い残業代を請求する際の重要な証拠となります。ただ、未払い残業代の証拠は総合的に判断されるので、タイムカードがなくても大丈夫です。ほかの証拠として、裁判官など第三者を納得させられるものを集めましょう。

具体的には次のようなものです。情報が重なれば重なるほど強固なものになるので、できるだけ多く集めましょう。

業務日誌

会社によっては業務日報を付けています。その日に自分がした仕事が記載されているので、与えられていた業務量を確認できます。業務終了時間まで記載されていれば、タイムカードに代わる有力な証拠となるでしょう。

業務メールの送受信履歴

仕事のメールの送受信履歴は、その時間に仕事をしていたことを証明できる証拠になります。会社のパソコンメールが望ましいのですが、個人のスマホでのやり取りの場合には業務内容を記載して、誰が見ても仕事のメールだと分かるようにしておきましょう。

会社パソコンのログイン履歴

会社のパソコンで仕事をしていた証拠になります。ただし、誰でも触れるパソコンの場合にはログインしていたのは自分だと特定できなければ意味がないので注意しましょう。

交通系ICカードの乗降車履歴

通勤の際に乗る交通機関の乗降車履歴など、毎日機械的に記録されているものを探してみましょう。

「勝手な残業だ」と言わせないために残業指示の証拠も忘れずに

未払い残業代の請求をした際、会社に「仕事にはゆとりがあったはず」、「従業員が勝手にした残業だ」、「遊んでいたのかもしれない」などと言い逃れをされないように、会社から残業の指示があったことを証明できる録音資料などを用意しましょう。

直接的な残業の指示でなくても、残業しなければ終わらないような業務量を与えられた事実も証拠になります。

まとめ

タイムカードだけが未払い残業代の証拠資料になるわけではありません。着実に積み上げられた改ざんできない証拠は非常に有力なものとなるので、サービス残業に気が付いた時点から集め始めるとよいでしょう。

万一、証拠として使わなかったのならそれはそれでよいのです。少しでも証拠になる可能性があるものはすべて集めておき、いざというときに使える武器を増やしましょう。

出典

東京労働局 しっかりマスター 割増賃金編

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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