最高の勤務態度です! スタッフとして毎日出勤する犬さまの業務内容とは

平日はオフィスに勤務する犬さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.211
猫(犬)さまの話をもっと聞かせて!
今回は番外編。犬のタイヨウさまはもうすぐ1歳半の男性犬さま。




<タイヨウさまが語ります>
僕はパリのサンマルタン運河近くのアパルトマンに住んでいます。このあたりは散歩にも気持ちがいい環境です。
平日は、『Maud Caubet Architectes』でハッピネスマネージャーとして勤務しています(笑)。主な業務は、ここで仕事しているスタッフにたくさん撫でてもらい、遊んでもらうことです。クライアントが来たら、愛嬌を振りまくのもお仕事です。お昼時はキッチンで、落ちている食べものを食べるお掃除係も兼ねています。



休日は、友だち犬と公園で遊んだり、飼い主の友人とカフェに行ったり、その友人宅で過ごすことが多いです。いつもはフランス産のカリカリを食べています。朝はカリカリのみ、夜はチキンやパテのおかずと共にカリカリを食べています。食は細いほうで、あまりおねだりもしません。でも、たまに事務所にランチのケータリングに来た人の匂いを嗅いだり、お弁当の中身をチェックして問題ないか確認もします。



1歳の誕生日にはドーナツ型のチキンとチキンの皮を乾燥させたものにヨーグルトのトッピングをもらいました! が、お腹が弱いので次の日はいち日中具合が悪いようでした(涙)。飼い主は常に2、3種類のおやつを常備していて、毎回違うものが登場します。少し大人になってからは、ウェット系のおやつが好きになりました。でも煮干しも大好物! 小さい頃から食べている大好物のビスケットは、毎日事務所で2、3枚いただいています。時々カモの首を乾燥させたものや牛のアキレス腱を乾燥させたものをおやつにしています。余計なものは入っていない自然のものですし、食品ロス問題の解決に少しは貢献できていると思っています。



好きな居場所は事務所のド真ん中。みんなを見渡すのが大好きです。事務所にある高額なラグの上でお昼寝するのも大好き。ここに来て初めての頃は、このラグを噛んだり引っかいたりして、スタッフのみんなにたくさん怒られていました(笑)。おもちゃはボール! あとは、街に落ちている木の枝です。フェルトでできた建築内装のサンプルも大好きです。


<飼い主から見たタイヨウさまとは>
『Show Animal』のサロンに遊びに行き、秋田犬を紹介しているブリーダーさんと出会いました。柴犬も扱っているということで、タイヨウの母の妊娠が確定した時点で連絡をいただきました。タイヨウが私にとって初めてのワンコですが、子犬から育てるのがこんなに大変だとは知りませんでした…。子犬のタイヨウを迎える前から、数人のドッグトレーナーにお世話になりました。7か月過ぎた頃から2か月くらい、幼稚園にも行かせていました(笑)。



元々の経緯としては、私が現在の職場で働く前から、事務所でマスコット犬を飼いたいとの希望があったようです。たまたまその話が出た時に、事務所に連れてきてOKなら連れていきたいと願い出ました。それからはいろいろなすったもんだがありましたが、友人の柴犬を8日間事務所に連れて行くテスト段階まで漕ぎ着けました。フランスは労働基準法で、同じ空間で働いている人全員の同意がなければ事務所で犬は受け入れられません。事務所はオープンスペースなので、全員の承諾が必要でした。友人の柴犬とは、本当に素敵な時間を過ごすことができました。そこから子犬探しが始まって、『leboncoin』や『SPA』でも探しましたが、『leboncoin』では詐欺にあいかけました…(苦笑)。もちろんマスコット犬のアイデア自体も白紙にもなりかけました。そして『Show Animal』に行き貴重な出会いができたのです。



タイヨウは皆に愛される術を知っているのか(笑)、人懐っこいです。遊ぶのが大好きなワンパク君です。事務所では、元気のない同僚の横に居たり、ストレスを抱えた同僚に寄り添ったり、優しいいち面もあります。特技は人間に取り入る(?)事! どんな人にもかわいがられています。会社の並びの商店でもアイドルちゃんです(笑)。特技かはわかりませんが、本当によく寝ます。朝は、私が出社する直前までベッドの中で寝ています。同僚20人を家族だと思っているようで、私のことは、ご飯をくれる人くらいにしか思ってないかもしれませんね。



一番楽しかったエピソードは、彼は交通機関(電車や地下鉄)が好きではないので、休みの日に車でブルターニュまで行った時のこと。他のワンコと一緒に行ったので心配していたのですが、車内や宿泊先では仲良く過ごしてくれました。干潟では見えなくなるほど遠くまで走っていったり、とても楽しそうでした。帰りの車内ではグッスリ寝ていたのですが、パリに入った途端に日常に戻った事を痛感していました。



タイヨウが1歳になってすぐに、私は3週間ほど日本に一時帰国していました。タイヨウは友人や同僚など3家族に預けられ、リレー式で3週間を過ごしていました。子どもや猫、違った環境で過ごして少し成長したのかもしれません。私がお迎えに行った時は、喜ぶ前にキョトンとしていました。そして、ヒコーキ耳になって喜んでくれたのは、彼と過ごして初めてのことだったかもしれません。彼との思い出は、日々ありますが、彼と私というより、彼のおかげでまわりとの思い出がたくさん増えているように思います。彼との生活は始まったばかりなので、これから思い出をたくさん作っていこうと思います。少しずつできることが増えたり、成長を見ているのは本当に楽しいです。


ーー初めてタイヨウさまに会った時から私も彼の虜になりました。事務所に伺った時出迎えをしてくれて、帰る時も見送ってくれたのです。飼い主が働いているのは建築事務所なのですが、タイヨウさまはここでスタッフの癒し、掃除(笑)、時にはムードメーカーやガードマンとしてちゃんと仕事に徹しているようです。海が好きなのはノルマンディー生れだからでしょうか? 海とタイヨウ(太陽)の組み合わせ、砂まみれになった姿のポートレイト写真可愛いですね。


著者情報松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!

© マガジンハウス