ウクライナ侵攻2年 家族を思うと…見えぬこの先、交錯する避難民の思い

いまもウクライナに残る両親や兄妹を思い話すビレツカ・アンナ・マリアさん

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で2年となった。軍事力を増強し攻勢を強めるロシア軍に対して、ウクライナ軍は欧米からの支援が停滞するなどして厳しい局面が続いている。国連によると、国外避難者は640万人を超えた。日本には約2600人が避難している。家族を残してきたり、父や兄弟が軍で働いていたりする人もいる。尽きない不安に、複雑な思いが交錯している。

 ウクライナ西部リビウ出身のビレツカ・アンナ・マリアさん(20)は、侵攻が始まった2022年2月24日に避難しようと空港へ向かった。しかし空港が攻撃を受け、脱出できないことが分かり、しかもこの時の情報ではウクライナ政府が男性の出国を制限していた。「あなただけでも」と両親に説得され、幼い妹と兄を残し、バック一つを持って、母の友人の車に乗り単身でポーランドへ避難した。ベルギーへ逃れ、受け入れがあった日本へたどり着いた時には5カ月がたっていた。

 いまは自治体の支援を受け、横浜市港南区のアパートで独り暮らししている。

 「平和で安全な日本で暮らすことができてありがたい」と言う一方で、家族のことが心配でならない。「この先の生活が見えない。日本で働くことができればとも思うが、家族を思うと…」。父親は軍人で戦闘に加わっているという。「とにかく生きていてほしい」。ウクライナの自宅は攻撃を免れているが、すぐ近くの建物は破壊された。

 「平和を願うが、それは、戦争が始まる前に全てが戻ることだと思う」と複雑な心境を明かす。

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