ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“かみのけ座”の銀河「IC 3476」

こちらは「かみのけ座(髪座)」の方向約5400万光年先の矮小銀河「IC 3476」です。塵の豊富な暗黒星雲が分布する中心部分の周囲を、渦を巻くような円盤構造が取り囲んでいます。矮小銀河は天の川銀河と比べて規模が100分の1程度の小さな銀河で、数十億個ほどの恒星が集まってできています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された銀河「IC 3476」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun)】

欧州宇宙機関(ESA)によると、IC 3476は銀河間の空間を満たすガスからラム圧(動圧)を受けています。ラム圧を受けた銀河は星の材料となるガスが剥ぎ取られることで星形成率が低下したり星形成が完全に止まったりする可能性があるものの、銀河の場所によってはガスが圧縮されることで反対に星形成が促進される可能性もあるといいます。IC 3476の場合はラム圧をまともに受けている外縁部分では星形成がまったく起きていない一方で、銀河内部のより深い領域における星形成率は平均を上回っているとみられています。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で2023年4月に取得したデータを用いて作成されたもので、ESAから“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として2024年2月19日付で公開されています。

Source

文/sorae編集部

© 株式会社sorae