亡妻一周忌のつるし雛飾り 菅野さん二人三脚の2500点【北上】

菅野さん宅に飾られた色鮮やかなつるし雛。妻千鶴子さんの遺影を胸に、夫婦二人三脚で歩んだ日々に思いを巡らす英美さん

 北上市の菅野英美さん(88)宅で、手作りの色鮮やかなつるし雛(びな)が飾られている。2023年3月に死去した妻千鶴子さん(享年85)と長年、二人三脚で作った2500個余りが所狭しと並び、華やかな空間を演出している。

 つるし雛は千鶴子さんが07年ごろからこつこつと針を通し丹精込めて作り、大工だった菅野さんも生地調達や型を取るなど共に作業。例年、ひな祭りの時期には自宅で英美さんがひな壇を作り作品を飾り付け、評判になり地域住民らが鑑賞に訪れていた。

 千鶴子さんは闘病生活でも手を動かし、亡くなる2カ月ほど前まで作り続けていたという。千鶴子さんの命日3月11日を控え、一周忌の供養を兼ねて3年ぶりに本格的に飾った。

 展示しているのは、07~23年の16年間に作った54種類、2536個で、金魚やひよこ、猫、ウサギといった動物、ツバキ、バラ、大根、ニンジン、ミカンなどの植物をはじめ、七宝まり、提灯、米俵、三角ずきんなどの縁起物のつるし雛。同じモチーフでも色の濃淡、形に変化をつけている。

 菅野さんが現役だった頃は千鶴子さんが支え、つるし雛作りは菅野さんが千鶴子さんをサポート。公私とも二人三脚で歩んできた。菅野さんは材料の買い出しに2人で出歩いたり、他のつるし雛の展示に一緒に出向いたりした日々を思い返すという。「一つ一つの作品に、その時々の思い出がある。これ(つるし雛作り)があったから2人で行動し、夫婦円満につながった」と感慨深げに語る。

 3月15日ごろまでの予定で希望者に公開する。

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