「この悔しさ忘れない」日本の激闘を目の当たりにした東京五輪金メダリストがパリ五輪での”打倒・中国”を期待【世界卓球】

53年ぶりの頂点まで、あとわずかだった。

現地2月24日、韓国・釜山で開催された卓球の世界選手権団体戦は女子の決勝が行なわれ、日本代表(世界ランク2位)は卓球最強の中国代表(同1位)と激突。3時間半を超えるフルゲームまでもつれた死闘は日本がマッチカウント2-3で競り負け、惜しくも53年ぶりの金メダルとはならなかった。

あと一歩だった。日本はトップバッターを務めた張本美和が中国の最強エース孫穎莎(ソン・エイサ)に0-3のストレート負けを喫したが、続く2番手の早田ひなが、東京五輪金メダリストの陳夢(チン・ム)に3-1で勝利。過去7戦全敗の相手から初白星を挙げ、日本の頼れるエースが星を五分に戻した。

3番手の平野美宇も、この勢いに続く。相手は世界ランク2位の王芸迪(オウ・ゲイテキ)だったが、”ハリケーン”と称される持ち味の攻撃スタイルでポイントを稼ぐ。さらに緩急をつけたサーブ、強打のフォアハンドなどで相手を翻弄。11-8、13-11、12-10のストレート勝ちを収め、日本が世界一に王手をかけた。

だが卓球大国は、ここから計り知れない執念を見せる。日中のエース対決となった第4試合は孫穎莎が早田を11-2、11-7、11-6と寄せ付けずに完勝。無敵の強さで2勝2敗のタイに戻す。

メダルの色が決まる勝負の第5試合は早田に敗れた陳夢が15歳の張本と対峙。スーパー中学生の変幻自在なサーブに手こずり第1ゲームは落としたが、続く第2ゲームで見事な修正力を見せて11-7、11-8、11-7と粘る張本をねじ伏せ、3ゲーム連取の逆転勝ち。中国が土壇場で卓球大国の意地を見せ、6大会連続の金メダル。敗れた日本は歴史的な死闘を演じたが、惜しくも頂点には届かず。53年ぶりの悲願は、またしても絶対女王の前に屈した。
この激闘をテレビ中継の解説、そして現場リポーターとして目の当たりにした人物がいる。今大会のメンバーにも選ばれている伊藤美誠と東京五輪の混合ダブルスでコンビを組み、金メダルを獲得した水谷隼氏だ。

同氏は試合直後の会場の様子を動画で撮影。会場の声援に応える中国チームと母国の旗を揺らすファンを撮影すると、自身の公式X(旧ツイッター)を更新。文面に「この悔しさ忘れない」と綴り、今夏のパリ五輪でのリベンジに早くも燃えていた。

動画のコメント欄には「惜しかったですね! でも頑張ってくれました」「素晴らしい試合でしたね」「世界卓球 めっちゃ楽しかったぁ。すごく感動した」「金メダルはオリンピックで取り返しましょう!」「本当に互角に戦えてすごかった! 中国に引けを取らない試合だった」など、日本女子の激闘を称える言葉が多く寄せられていた。

絶対女王を最後の最後まで追い詰めた日本女子。5大会連続の銀メダルに終わったが、今回の戦いぶりは確実に今夏のパリ五輪にもつながる価値あるメダルになったかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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