古巣相手に完敗のソシエダ、久保建英の孤軍奮闘ぶりに「日本人選手が常に全てを解決できるわけではない」と現地メディア

現地時間2月23日に行なわれたラ・リーガ第26節で、レアル・ソシエダはビジャレアルに1-3で敗れ、本拠地レアレ・アレナでの公式戦連続未勝利が6試合に伸びた。

ポゼッション(70%対30%)、シュート数(21本対6本)とスタッツでは大きく相手を上回ったものの、17分にセットプレーで失点すると、47分にはサンティ・コメサーニャにダブルを許した「ラ・レアル」。終盤の86分に多重攻撃からのミケル・メリノのゴールで1点差としたが、アディショナルタイム5分に昨季までのチームメイトだったアレクサンダー・セルロートのダメ押し弾で万事休した。

久保建英は古巣相手にフル出場を果たし、フィニッシュやチャンスメイクで幾度か見せ場は創ったが、結果には結びつかず。データ専門サイト『WhoScored.com』によれば、古巣相手の90分の間にボールタッチ73回(攻撃選手では両チーム最多)、シュート3本(枠内2本→最多タイ)、パス47本(成功39本)キーパス3本(最多)、ドリブル5回(成功2回)、空中戦1回(勝利)、ファウル1回というスタッツを記録している。

現地メディアの評価を見ると、マドリードのスポーツ紙『MARCA』は、3点満点の採点では「1」止まりだったものの、記事の中では「久保はビジャレアルの守備陣にとっては頭の痛い存在であり、右サイドから攻撃を仕掛け続けた」「久保はアマリ・トラオレ、アルセン・ザハリャン、ハビ・ガランとともにサイドで大きな役割を果たした」「久保のクロスは危険」など、そのプレーをポジティブに伝えた。

同じくマドリードのスポーツ紙である『AS』も同採点で、この日本人選手のプレーについては「彼に攻撃の全責任を負わせることはできない。最初は良かったが、後半になるにつれて調子を崩した。苛立ちを見せ、最終的には失望を味わうこととなった」と、厳しめの記述。別の記事では、「久保はイマノル・アルグアシル監督のチームの中で最も活躍するも、フィニッシュで正確さを欠いた」と綴っている。

続いてバルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、個別評価の記事で、久保を「頑張り屋」と表現し、寸評では「ボールを要求し続け、困難な状況でも逃げずに対処したが、時折決断を誤り、それがチャンスを逃す原因となった」と指摘するとともに、「スクリューの効いた素晴らしいクロスと、抜群のスピードで数えきれないぐらい相手をかわしたゴール前でのプレー」と、そのパフォーマンスへ賛辞も贈った。
日刊紙『El Pais』は、「ビジャレアルの攻撃が相手にとっては恐ろしいものになった一方で、ラ・レアルは攻め続けるものの、多くが枠を大きくシュートに終わるか、相手の守備に阻まれた。久保の右サイドでの奮闘も報われず、また彼のプレーにはインスピレーションが感じられなかった」と、チームと久保個人の両方に対してネガティブな印象が示され、ラジオ局『Cadena SER』も、「久保は飽くことなく積極的にトライし続けたが、フィニッシャーを見つけられず、またはペナルティエリア内では精度に欠けた」と厳しく評している。
バスク・ギプスコアの地元紙『noticias de Gipuzkoa』は、「ビジャレアルの得点はソシエダをKO状態にし、反応する能力を奪った。ソシエダはゴールがなく、アイデアもなく、インスピレーションもなし……。予測可能な重苦しいプレーと続け、常に久保にボールを預けて、ランプをこすりながら天才のプレーを待ち続けた。しかし、日本人選手が常に全てを解決できるわけではない」との表現で、背番号14の孤軍奮闘ぶりを強調した。

また、10点満点の採点では「5」(これでもチーム最高タイ)を与え、寸評では「彼は最後まで相手に挑み続けたが……シーズン序盤のような精度の高い、攻撃的なプレーは見られなかった。アンデル・バレネチェアがいないと、チームは久保のサイドに過度に依存し、相手チームにとってより守りやすくなってしまった。それでも、彼には実力がある」と、チームとしての問題も指摘している。

最後に、サッカー専門サイト『El Desmarque』は「ボールコントロールが上手くいかなかった。センターを脅かそうとしたが、ラ・レアルのどの選手にとっても、良い日ではなかった。それでも、試合終了の笛が鳴る瞬間までトライを止めることはなかった」と、ネガティブな寸評を綴り、採点はチーム2番目となる及第点の「6」とした。

構成●THE DIGEST編集部

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