『恋する警護24時』水田の正体が明らかに 里夏と離れたくない辰之助の必死さが愛おしい

「認めるよ。昔はね、そんな名前だった……」

序盤から“何か”あると思っていたが、あっさり認められてしまうと面食らってしまう。やっぱり、このドラマは考察系アクション・ラブコメディーなだけあって、一筋縄ではいかなそうだ。

※以下、『恋する警護24時』第7話のネタバレを含みます

『恋する警護24時』(テレビ朝日系)第7話では、漆原(溝端淳平)が水田雄介と同一人物であることが明らかになった。ということは、辰之助(岩本照)が長年追い続けてきた父親殺しの真犯人が、目の前に現れたということ。これで、ようやく辰之助も事件の呪縛から解き放たれることができる……と思ったが、水田は自分は無実だと言い張っている。捕まえたくても、彼が父親を殺した証拠がない以上は、捕まえることができない。もしかすると、辰之助は今までよりも辛い状況に置かれているのかもしれない。生涯を懸けた任務を達成するときがきたのに、あと一歩のところで寸止めされてしまっているなんて。

前回までは、「実は水田が真犯人ではない線もあるのでは……?」なんて思っていたけれど、ここまできたら黒幕は確定されたということでいいだろう。ただ、金井(渋谷謙人)を殺害したのは、水田ではなく15年前に辰之助の父が殺害された事件で捕まった少年のうちのひとり・加賀美(山口大地)だった。

加賀美は金井に脅されたとき、どうして水田なんかに助けを求めてしまったのだろう。水田は、他人を操るためなら都合よくスラスラと思ってもいないことを言ってのける。「安心しろ。何もかも保証するから」なんて言ったって、本当に保証してくれるはずがない。それなのに、加賀美は水田の言葉をあっさり信じて、金井を殺害してしまった。陰で「そう言っただけなのに、まさか殺すなんてね」と鼻で笑われていることも知らずに。

ただ、加賀美は、水田が辰之助の父を殺害した証拠となる金庫を持っている。その金庫さえあれば、水田をぎゃふんと言わせることができるかもしれない。しかし、第8話の予告を見ると「なんと加賀美が事故に遭い、意識不明の重体だという」との一文が。おそらく、水田が証拠の隠ぺいを図るために襲ったのだろう。

そして、辰之助の元カノ・結子(吉谷彩子)も何やら怪しく見えてきた。最初は、里夏(白石麻衣)の恋心に火をつけさせるための当て馬ポジションなのかと思ったが、恋愛面だけでなく事件にも関わっていそうな気がする。

思い返せば、最初に辰之助が暮らす寮に水田を連れてきたのも結子だったし、「あの人、水田なんでしょ?」と言ったのも、ゆすりをかけているように見える。スピンオフドラマ『恋し続けて警護240日』(TELASA)では、湊(藤原丈一郎)が結子に想いを寄せているような描写もあるため、恋愛面でも「RACCO警備保障」に平穏が訪れる日は遠そうだ。

第7話は、15年前の事件の真相を追うシーンが多く、辰之助と里夏の恋路にスポットが当たることは少なかったが、ボディガードと依頼人の関係をじわじわと超えてきているのは分かる。「もう、うちの事務所への脅迫は心配ないかと思うので、警護は終了で。ここを出ます」と言う里夏に、「いえ、心配です。まだまだ安全とは言い切れない」と返した辰之助。焦って言い訳をしているような物言いから、里夏と離れたくない必死さが伝わってきて愛おしかった。「任務なので」と言わないところからも、距離の近さを感じさせる。

漆原=水田であると判明した以上、探さなければならないのは、水田が辰之助の父を殺害したという証拠のみだ。ずっとベールに隠されてきた真相が明らかになるのが楽しみであり、ちょっぴり怖い気もする。

(文=菜本かな)

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