島根県出身者が恐れていた「福井の寒さ」 韓国や北海道出身者にも尋ねてみた体感【福井県立大学生コラム】

雪が降りしきる福井県の福井市中心部=2023年12月21日

あなたは「福井は寒い」と思いますか?ほとんどの人が「福井は寒い」と答えるだろう。筆者は、島根県出身である。島根県は、そこまで寒くなく、雪が降ってもすぐ溶けてしまうので積もらないことが多い場所である。なので私は、福井の寒さを恐れていた。

しかし、2023年の12月中旬までは福井は私の想定より暖かかったため、拍子抜けだった。とはいっても、夏のように暑いわけでもない。そんな中、北海道出身の友達は半袖を着て大学で授業を受けていた。私は驚き、その友達に「寒くないの?」と尋ねると「だって今日、気温10度以上だよ~。」と返答が来た。どうやら彼女にとっては最高気温が10度以上ある日は寒くないという認識らしい。

ほとんどの学生は当たり前のように長袖を着て大学で授業を受けていた。もしかしたら、「寒い」という感覚は出身地によってズレがあるのかもしれない。他の県が出身地の学生に「『福井は寒い』」と思う?」と聞くと、大多数は「寒いと思う。」という返答が来た。私は様々な出身地の人に同じ質問を聞いてまわった。そのなかで、もしかしたら、「寒い」には多様性があるのかもしれない、という考えに至った。

韓国出身の留学生に「『福井は寒い』」と思う?」と聞いたときには、興味深い返答が返ってきた。それは、「福井の『寒い』は湿気が多いけど、韓国の『寒い』は空気が乾燥していて、鼻に針を刺されたような痛みに襲われる。」であった。私はこの言葉を聞き、高校生の時に習った地理の内容を思い出した。

冬になるとユーラシア大陸上空にシベリア高気圧が発生するため、韓国など海を越えない国では、この高気圧によって寒さと乾燥を引き起こすのだ。逆に日本の福井など海を越えた地域では、この高気圧から来る風に湿気が伴うのだ。

身近に聞く表現では、ニュース番組の天気予報のコーナーで、お天気キャスターさんが「今日は、西高東低の冬型の気圧配置となりそうです。」と言うことがある。皆さんも一度はこの表現を聞いたことがあるのではないであろうか?そう、韓国からの留学生はまさにこれのことを言っていたのである。

長々と述べたが、つまり、韓国の冬はものすごく乾燥し寒いのである。私は、福井県民が「福井は寒いし、雪はべちゃべちゃしてて、雪かきの時に雪が重くて大変だ。」と福井の気候を皮肉した表現をよく聞く。しかし、福井の冬の湿気のおかげで、鼻が針を刺されたように痛むことが無いというメリットがあることを知っておいてほしい。

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