三線の伝統工芸士に4人認定 国工芸品指定後初 「後進の育成にも取り組みたい」 沖縄

「三線」の伝統工芸士に認定された渡慶次道政さん(右)と仲嶺盛文さん=22日、那覇市安里・県三線製作事業協同組合

 伝統的工芸品産業振興協会(東京都)は25日、国の伝統的工芸品に指定されている「三線」の伝統工芸士に、沖縄県三線製作事業協同組合の組合員4人を認定した。三線の伝統工芸士の誕生は、2018年に国の伝統工芸品に指定されてから初めて。認定されたのは、同組合代表理事の渡慶次道政さん(76)=那覇市、仲嶺盛文さん(77)=浦添市、今月死去した故譜久山勝さん=八重瀬町=と故照屋勝武さん=うるま市。渡慶次さんと仲嶺さんは「認定を機に三線文化を盛り上げ、後進の育成にも取り組みたい」と語った。

 伝統工芸士は、伝統工芸品の製造に関する伝統的な技術および技法に熟練した12年以上の現役従事者で、試験に合格したものを認定する。

 渡慶次さんは三線は600年の歴史があるとし「心を込めて作り、お客さんに渡している。今後も先人たちの思いを胸に、後継者にも受け継いでいきたい」と喜んだ。仲嶺さんは「あまり日の当たらない仕事だが、初めて表に出たようでうれしい」と語った。

 同組合によると、三線製作の現場では職人の高齢化などの課題もある。スタッフの玉城あゆみさんは「伝統工芸士認定を機に、若手の育成にも力を入れたい」と話した。(学芸部・知念豊)

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