再送-ウクライナ侵攻が3年目突入、甚大な犠牲と細る国際的支援で疲弊

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[キーウ 24日 ロイター] - ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始が24日、3年目に突入した。第2次世界大戦以降の欧州で最も致命的だと言われる紛争が勃発して以来、ウクライナはかつてないほど弱体化している。

人口4000万人のウクライナは、ロシアの戦車と兵士が首都キーウ(キエフ)方面に侵攻を開始した後、数日から数週間、規模ではるかに勝る敵を撃退し、完全な敗北を免れた。大方の予想を裏切った上、ロシア政府の見込んでいた最善のシナリオを覆した。

だが戦争から丸2年が経過し、国際的な援助や軍事物資の供給は細っている。ウクライナ軍による夏期の反転攻勢は不首尾に終わり、ロシア軍が攻勢を強める戦況に影響を及ぼしている。

ゼレンスキー大統領にはまだ多くの支援者がいる。24日には主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開催される予定で、ゼレンスキー氏も参加して安全保障、対ロシア制裁などの喫緊の問題について話し合う予定だ。

米国のバイデン大統領は、政治的対立により追加支援610億ドルの議会審議が難航しているとはいえ、信頼できる支持者であることに変わりはない。

2024年末を見据えると、米国の11月の選挙で大統領が交代し、ウクライナとロシアとの戦争に対する政策が変わり、今後の見通しが不透明になる可能性がある。

ゼレンスキー大統領は昨年11月に訪米した際、ウクライナ支援を声高に批判する共和党のトランプ前大統領に対し、ロシアがもたらした被害を実際に来て自分の目で確かめるよう呼びかけた。

<古い戦争と新しい戦争>

ウクライナの検事総長は23日に、過去2年間における12万2000件以上の戦争犯罪容疑の捜査を開始したと発表した。ロシア側は戦争犯罪を否定している。

侵攻開始当初の衝撃は徐々に薄れ、疲労へと変化している。2022年後半にみられた、ロシアによる勝利とウクライナの見事な反転攻勢は、塹壕戦のような激しい消耗戦へ移行していった。

ロシアは兵士を補充できる人口がはるかに多く、軍事予算も多いため、長期戦の方が有利に働く可能性がある。ただ、西側による経済制裁や中国への依存拡大に対処しなければならない政府にとって、代償は大きい。

ウクライナの立場はもっと不安定だ。村や町や都市は破壊され、軍は疲弊し、弾薬は不足。一方でロシアのミサイルや無人機による攻撃は毎日のように降り注いでいる。

ロシア軍は今年2月初め、東部ドネツク州の要衝アブデーフカを掌握。数カ月にわたる市街戦に終止符を打ち、この9か月間で最大の勝利を収めた。

だがゼレンスキー大統領は挑戦的な態度を崩さなかった。

「勝利が待っていると確信している」。同大統領は今週キーウで、外交官らに対し感情に訴える演説を行った。「特に、皆の団結と支援のおかげだ」

双方で数万人の兵士が死亡、数万人が負傷し、数千人のウクライナ市民が命を落とした。ロシア政府は民間人への攻撃を否定し、軍事的・戦略的な標的だけを狙っていると主張している。

<高騰する軍事コスト>

ウクライナの被害は甚大だ。

最近の世界銀行の調査によると、同国の経済再建には10年間で4860億ドルの費用がかかる見込み。200万戸の住宅が完全に破壊もしくは一部損壊し、600万人近くが海外に避難している。

戦争を継続するための資金と武器の調達に加え、ゼレンスキー氏は最大50万人以上の追加動員を可能にする法案を議会に提出しようとしている。これが実現すれば、経済がまひ状態に陥ると懸念するエコノミストもいる。

一方でロシアの財政は、経済制裁下でも底堅いことが示された。天然ガスの輸出は低迷しているものの、原油輸出はインドと中国の買い支えによって持ちこたえている。

2023年の国内総生産(GDP)は前年比3.6%増加したが、国内エコノミストの中には国防費の急増によるものであり、停滞や景気後退が迫っていると警告する向きもある。

3月の大統領選挙では、プーチン氏の勝利は揺るがないとの見方が多い。同氏の政治的パフォーマンスや、「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ侵攻への幅広い支持の中で、地滑り的勝利が見込まれている。

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