全国でも少ない「音楽家外来」、ピアノコンクールで受賞経験のある医師が福井で開設 演奏者特有の疾患に対応

ピアノを演奏する村井惇朗医師

 楽器を演奏する音楽家特有の運動器疾患に対応する「音楽家外来」が、福井総合クリニック(福井県福井市)の整形外科に開設された。担当する村井惇朗医師によると、一般的な整形外科では痛みが出たら演奏しないように指導するケースが多いが、音楽家外来では「演奏を休まずに治療する」を念頭に置く。「演奏を休むことに抵抗のある人が多い。演奏の特性を踏まえながら、音楽家の気持ちに寄り添った診療をしていきたい」と話す。

 演奏では手指を酷使することが多く、「腱鞘炎」や「オーバーユース症候群」などに悩む人が多いという。バイオリニストは顎と肩でバイオリンを挟みながら演奏するため、首を痛めやすいといった演奏する楽器特有の障害が生じるケースもある。

 アマチュアを含めて楽器を演奏する人は多い一方で、アスリートを診る「スポーツ外来」のような音楽家特有の疾患を専門的に診療する医療機関は全国でも少ない。幼少期からピアノを習いコンクールでの受賞経験もある村井医師は、専門外来の立ち上げを長年考えてきた。整形外科医として経験を積み、2022年に赴任した福井総合クリニックで2023年10月、音楽家外来を開設した。

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