ナワリヌイ氏の遺体が母親の元に 葬儀はこれからと広報担当者

近年のロシアで最も著名な反政権派指導者で、収監されていた北極圏の刑務所で16日に死亡したアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の遺体が24日、母親のリュドミラ・ナワルナヤ氏に引き渡された。ナワリヌイ氏の広報担当が発表した。

ナワリヌイ氏の広報担当キラ・ヤルミシュ氏は

で、当局に遺体の引き渡しを求めてくれた全ての人に感謝すると述べた。

ヤルミシュ氏は、「葬儀は、まだ行われていない」と明らかにした。葬儀の計画はまだ不明だという。

「家族が望むような、アレクセイにふさわしい葬儀を、当局が妨害するかどうかはわからない」ともヤルミシュ氏は述べた。

リュドミラ氏は、息子が収監先の刑務所で16日に死亡したとの知らせを受け、北極圏にあるヤマロ・ネネツ自治管区サレハルドに向かったものの、息子の遺体との面会を拒否された。20日には、埋葬できるように遺体を引き渡すようプーチン氏に直接訴えていた。

リュドミラ氏は、21日にようやくナワリヌイ氏の遺体と対面した。また、「自然死」と書かれた死体検案書に署名したものの、3時間以内に「秘密の」埋葬に合意するよう圧力をかけられたと伝えられている。

ヤルミシュ氏の説明によると、これを拒否すれば、ナワリヌイ氏は死亡した刑務所の敷地内に埋葬されると言われたのだという。

だが、リュドミラ氏は当局との交渉を拒否したとみられる。

獄死に関する情報に報奨金も

ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ氏は24日午前、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がナワリヌイ氏の遺体を「人質」に取っていると非難。無条件での引き渡しを求めていた。

動画での声明でナワルナヤ氏は、「夫の遺体を返してほしい」とプーチン氏に要求。

「あなたは生前の彼を拷問し、死んでからも拷問し続けている。死者の遺体をもてあそんでいる」と指摘した。

その上でナワルナヤ氏は、ナワリヌイ氏の死にはプーチン大統領が関わっていると、重ねて非難した。

ナワルナヤ氏は22日、米サンフランシスコでジョー・バイデン米大統領と面会。バイデン氏は、ナワリヌイ氏が亡くなった責任はプーチン大統領にあることは「疑いようもない」と、述べている。

またこの日には、24日に開戦2年を迎えたウクライナ全面侵攻と、野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の獄死を理由に、ロシアの500以上の個人・団体を対象にした追加制裁を発表した。

クレムリン(ロシア大統領府)は全ての疑惑を否定しており、西側諸国の反応を「ヒステリック」だと批判している。

ナワリヌイ氏に何が起こったのか、その詳細はまだ明らかになっていない。ナワリヌイ氏のチームは、同氏の獄死に関する情報と引き換えに看守たちに対して、2万ユーロ(約330万円)の報奨金とロシア出国の援助を提供すると呼びかけている。

ナワリヌイ氏は長年、プーチン氏を最も声高に批判していた。

2020年8月には、シベリアを訪問中に軍事用の神経剤「ノヴィチョク」を盛られ一時意識を失ったが、ドイツで治療を受けて回復した。

2021年1月にロシアに戻ると、同氏はすぐに詐欺と法廷侮辱罪で逮捕され、禁錮9年の実刑判決を受けた。

ナワリヌイ氏の訃報を受けてロシア各地では追悼集会が開かれたが、当局はそれを厳しく取り締まった。急きょ設けられた慰霊碑は撤去され、数百人が逮捕された。

(英語記事 Navalny's body returned to mother, spokeswoman says

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