【漫画】愛らしい女子たちが伝える“お酒の飲み方” グルメ研究家による『白熱日本酒教室』がためになる

誰しも一度は経験する、お酒の席での失敗。アルコールに関する自身の限度や正しい付き合い方はマナーとして知るべきだろう。日本酒1合と焼酎ロック1杯、ストロング系酎ハイ1缶で一番アルコール量が多いのはどれか、悪酔いしないためにどうしたらいいのか――。毎年成人の日に合わせて投稿されるSNS漫画「白熱日本酒教室」は我々に飲酒に関する知恵を授けてくれる作品だ。

作者は醤油やお酒やグルメ漫画の研究家として知られる、「むむ」こと杉村啓さん。彼はなぜ毎年この啓蒙的な漫画をSNSに投稿しているのだろうか。その理由を制作の背景と合わせて聞いた。(小池直也)

――本作を成人の日に合わせて投稿された経緯について改めて教えてください。

杉村啓(以下、杉村):今から6年前に発表した「白熱日本酒教室」の第1巻に収録されているエピソードです。悪酔いしてしまうようなお酒の飲み方をして欲しくない、ということで4年ほど前から成人式に合わせて毎年投稿していました。毎年読んでくださる方もいれば、初めて読んでくださる方もいて。投稿の度に多くの反響をいただいています。

――可愛いキャラやアルコール量の比較図も特徴かと思いますが、作画のアザミユウコさんとはどのように打ち合わせを?

杉村:「大体こんな感じです」という大まかな展開や図を手書きで提示はしました。もともと本作は「ツイ4」という4コマ漫画を配信する媒体で1ページずつ公開していたので、縦の図にするアイデアなどはありましたが、それをアザミさんがきれいに形にしてくれました。

――このストーリーはどのように着想を?

杉村:同様の内容は原作である新書版を書く時から、載せなければいけないと思っていました。さらに言えば、その前の同人誌版を作った10年前も同様で。そのころにはちょっとした日本酒ブームがあったのですが、何より一気飲みは命の危険があるため、絶対に行ってはならないんです。危惧というよりも、無理のない範囲で楽しんで欲しいし、そうでないと飲酒文化が今後も広まっていかないとも考えたからですね。そこで重要なのが、自分の限界量を知ることなんです。

――危惧があった?

杉村:悪酔いや公共の場や店で迷惑をかけたりは私自身も経験がありましたし、一気飲みをさせるような時代でもないとも考えていました。ただ飲むにせよ、断るにせよ、まずは自分の限界量を知る必要があります。だから危惧というよりも、飲酒文化が今後も広まるためには飲み方について知ることが必要だと思ったというところです。

――10年を経た今の飲酒文化で変化したと思う点は?

杉村:良くも悪くもお酒を飲む人が減りましたね。お酒は肉体にも精神にも影響する薬の一種だから慎重な人が増えたとも言えますが、コロナ禍による飲食店へのダメージが拍車をかけた印象です。

反動でお酒関連イベントには人が殺到しているようにも見えますが、長い視点で見ると年長の方は健康面でお酒を飲めなくなり、かといって若い層も絶対数が少なくなっているので、飲酒する人の減少は間違いありません。

――本作では「とにかく水が大事」ということも強調されていました。

杉村:極端に言うと、大量の水を飲んで薄めれば何とかなるんですよ(笑)。ブランデーを使ったケーキを酔いやすい人でも食べられるのは、摂取するスピードが遅いし、一度に摂取するアルコール量が少ないからでもあります。それを飲酒で実現するには水しかありません。

「飲んだ水と同量の水」という表現も有名ですが、日本酒のアルコール度数は15%以上なので同量の水では約8~9%ほど残ってしまいます。倍量の水で5%ほどになるので、これでようやくビール並みですね。弱いと自覚のある方は最低でもそれくらいそれくらいの水、もしくはこれ以上の水を飲んでいただきたいです。

(小池直也)

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