沖縄の暮らし幸せ・家族に会いたい 避難生活の長期化に感謝と不安 ウクライナ侵攻から2年

県内での生活について語り合うユーリさん(右)とヴァレンティナさん=20日、那覇市内

 ロシアのウクライナ侵攻から2年が過ぎた。県によると、ウクライナから沖縄に避難している人は1月末時点で19世帯28人いる。那覇市内で暮らすユーリさん(42)とパートナーのヴァレンティナさん(49)も、ウクライナの首都キーウから避難してきた。2人は「沖縄で暮らすことができてとても幸せ、支援に感謝している」と話す。一方で、この2年間を振り返り「家族に会えず寂しい」と孤独を感じたり、避難生活が長期化する中で「いつまで公的支援が続くか分からない」との不安も感じたりしている。(社会部・榧場勇太)

 ロシアの侵攻後、ユーリさんとヴァレンティナさんは隣国のポーランドなどを経由し、日本人の知人の紹介で東京に渡り、昨年11月からは那覇市に住んでいる。今は、ゆいレールに乗って市内を散歩したり、家で料理を作ったりして過ごしている。沖縄の料理でお気に入りは「モズクのスープ」だという。

 ユーリさんは17年前に事故に遭い、車いす生活を送っている。「那覇は坂が多くて移動が大変だが、買い物や移動を助けてくれる日本の友人に感謝したい。沖縄の温暖な気候が気に入っている」とほほ笑む。

 ヴァレンティナさんは日本のアニメが好き。キーウの大学で日本語を専攻し、東京に2カ月ほど滞在した経験もある。「日本の文化は大好きだが、避難民として生活するとは思っていなかった」と話す。

 避難生活が続く中での不安もある。

 今は県からの1日当たり2400円の支援金を頼りに生活しているが、支援がいつまで続くか分からない。2人は「戦争の終わりが見えない中、できれば日本に住み続けたい」と話し、仕事を探し始めている。ヴァレンティナさんは日本語をさらに磨き、ホテルやカフェなどで働くことを考えている。

 一方で、ニュースなどで見る破壊された故郷、離れ離れになっている家族のことで心配が尽きない。

 ユーリさんの姉は、子どもを連れてドイツに避難しているという。「姉や子どもと遊ぶことが好きだったが、会うことができず寂しい」と話す。

 ヴァレンティナさんは最近、ウクライナで暮らす母の友人だった20代の兵士が戦死したことを知ったという。

 イスラエルによる侵攻で人道危機が深刻化するパレスチナ自治区ガザの人々にも思いを寄せながら「自分よりずっと若い人の命を奪う戦争は、とても残酷だ」と険しい表情を浮かべ、「ウクライナで戦争が続いていることも忘れないでほしい」と訴えた。

© 株式会社沖縄タイムス社