英与党、下院議員の党員資格停止 「イスラム主義者」がロンドン市長を支配と発言

イギリスの与党・保守党で副幹事長を務めたこともある下院議員が、ロンドンのサディク・カーン市長(労働党)を「イスラム主義者」と結び付ける発言をし、謝罪を求められても拒否したことから、保守党は24日、議員の党員資格を停止した。

リー・アンダーソン議員は23日、イギリスの保守派ニュース局「GBニュース」に対して、「イスラム主義者」がカーン市長を「支配」するようになったと発言した。

これに対してカーン市長は24日、「ムスリム(イスラム教徒)憎悪の炎に油を注ぐ」発言だと非難した。

カーン市長の発言から間もなく、保守党のサイモン・ハート院内幹事長は「(議員が)昨日の自分の発言について謝罪を拒否したため、院内幹事長はリー・アンダーソン議員の党員資格を停止した」と発表した。

アンダーソン議長は自分の発言によって、党の院内幹事長やリシ・スーナク首相が難しい立場に立たされたと認め、「この状況では私の党員資格を停止するしかなかったのは、十分に理解できる」とコメントした。その一方で、「反ユダヤ主義だろうが反イスラム主義だろうが、あらゆる過激主義を非難する政府の取り組みを、私は支え続ける」とも述べた。

アンダーソン議員はGBニュースで「イスラム主義者がこの国を支配するようになったとは、それは思っていない。しかし、カーン(市長)を支配しているとは思っているし、それで(イスラム主義者は)ロンドンを支配している(中略)彼は実際、この国の首都を自分の仲間に明け渡した」と述べていた。

これを受けてカーン市長は、スーナク首相や内閣の「すさまじい沈黙」が続いていると非難。保守党のサジド・ジャヴィド元財務相も、アンダーソン議員の発言を「ばかげている」と批判した。こうした状況で、スーナク首相に対応を迫る声が高まっていた。

(英語記事 Lee Anderson: MP suspended from Tory party over 'Islamists' comments

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