駐車場の車に押し入り、車内で休んでいた女性を突然襲い… 「使えないボーイ」と言われ憎しみ 一方で風俗・ガールズバーで散財 男が裁判で語ったことは?

2023年5月、島根県松江市内の駐車場で、車の中で休んでいた女性の首を絞めカバンを奪うなどしたとして、元会社員の男が強盗致傷などの罪に問われました。裁判で男は、元同僚女性への嫌がらせだったと主張。2人の間に何があったのでしょうか。

強盗致傷と住居侵入、窃盗の罪に問われたのは、26歳の元会社員の男です。

2月5日、松江地裁で開かれた初公判。
検察は、男が2023年5月7日、松江市内のアパート前駐車場に停まっていた車に押し入り、車内で休んでいた元同僚の女性の首を手で絞めるなどして軽いけがを負わせ、現金と鍵などが入ったカバンを奪ったほか、奪った鍵を使い女性の家から現金およそ30万円を盗んだとしましたが、男は「お金を奪う目的ではなく、女性への嫌がらせだった」などと、強盗致傷の起訴内容を一部否認しました。

男と被害者の女性は、事件の4か月余り前に女性が退職するまで、同じスナックでキャスト(接客担当)とボーイとして勤務していました。

弁護側は冒頭陳述で、当時女性が男のことを「使えないボーイ」などと言っていたとの噂を聞いて、男が憎しみを感じていたとしました。
そして女性への嫌がらせで犯行に及んだので、現金を奪う目的ではなかったと述べました。

翌日、証人尋問で被害女性が、法廷の中央に造られた衝立の中で証言しました。

男が当時「入れるべきお金を入れなかったりとか備品の購入で違うものだったりとか」「レジのお金も雑というか、ちゃんとしてたらできることをちゃんとしてなかったので、ちゃんとしてよと」強く注意することがあったとしました。

一方で…

被害者の女性
「退職後も誕生日にはおめでとうとメッセージを送り合ったり、たわいもない話をLINEに送り合ったり。(関係は)そんなに悪くなかったと思っていました」

客に男のことを愚痴ったことはないと言い、強い処罰感情を示しました。

被害者の女性
「一人で夜、出歩けなくなりました。びくびくしてしまいます。昼や朝もどこか怖いと…。絶対に許せないと思います。一生(刑務所から)出て来て欲しくないと思います」

そして、男への被告人質問。

男は、女性から「使えないボーイ」と言われていると客に聞いたことなどから、憤慨し憎しみを感じていたと話しました。

さらに週末以外で働いていた解体業の仕事で現場責任者から「お前やめてしまえ。死んでしまえ」などと繰り返し言われストレスを感じていたとして、「1年半溜めてたストレス、鬱憤、イラつき、あの日に爆発してしまった」が、現場責任者は怖かったので「2番目に苦手な女性に嫌がらせをしようと」襲うことを考えたと説明しました。

そして事件当日。
男は送迎で女性の家を知っていたこともあり、家の近くで待ち伏せし、帰って来た女性の車のドアを開けて首を絞めるなどしたものの抵抗されたとしました。


「頭がパニックになってしまって…何をしたら良いか。(女性が助けを求めて鳴らした)クラクションが結構長い間鳴ったので、近所の人が来ると思いました」

また、通報されないように女性のスマホが入っていると思ったカバンを車から持ち去ったものの、中にスマホはなく、入っていた鍵で女性の自宅に侵入したということです。

男はその理由について弁護人に対し…

被告の男
「(女性の部屋という)興味本位もありますし、お金盗ろうというのもありました」

Qボックス見付けて?
「開けました」

Qすぐお金見付かった?
「そうです」

Qお札の種類は?
「5000円と1000円と2000円が束になってました。盗りました。ズボンのポケットに入れました。いろんなアパートの裏のぐるぐる回りながら逃げました」

Q自分の車に乗ってから?
「家に帰って」

Qお金はどうした?
「米袋の中に入れました」

Q数えた?
「数えてないです」

Q30万円位あった?
「間違いないと思います。風俗で使ったり、物を買ったり、支払いに当てたり、生活費に当てたり」

男は逮捕されるまでの間に、多くを使ってしまったと説明しました。

さらに事件の10日程前にもらった給料13万円についても…


「次の日にガールズバーで全額、マイナスになるまで使ってしまいました。(所持金は)ほぼゼロです。貯金もないです」

検察は犯行が金品を奪う目的だったと主張していたため、当時金に困窮していたかと問われた男が「はい」と答えると、裁判長が答えを確認する場面もありました。

裁判長
「今の、『はい』で大丈夫?」

翌日行われた論告求刑公判。
検察側は、浪費癖から生活費にも困窮し、現金を奪おうとした極めて身勝手な動機で、法廷では不合理な弁解に終始している。特殊詐欺で服役後、3年足らずの犯行で再犯の恐れがあり、被害者も厳重な処罰を望んでいるなどとして懲役7年を求刑しました。

これに対し弁護側は、元々は嫌がらせが目的で、当初から現金を奪うつもりはなく、幼少時の母親の育児放棄により社会性の幼さがあるなどと主張して情状酌量を求めました。

そして迎えた判決公判。

裁判長は自己中心的で悪質な犯行であるとして、懲役5年6か月の実刑判決を言い渡しました。

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