銀行預金は1000万円まで保護されますが、投資している証券会社が倒産した場合はどうなりますか?

顧客資産の分別管理とは

証券会社が自身の資産と顧客から預かった資産を別に管理しています。このことを「顧客資産の分別管理」といいます。「顧客資産の分別管理」とは、証券会社が顧客から預かった資産(現金、株式、債券など)を、自己の資産とは別に管理することです。具体的には、証券会社が自己の資産として持つ口座(自己口座)とは別に、顧客の資産を管理するための口座(顧客口座)を開設し、そこで顧客から預かった資産を保管するのです。

この制度は、証券会社が経営破綻した場合でも、顧客の資産が証券会社の負債の担保に使われることを防ぐ目的があります。つまり、証券会社が倒産したとしても、顧客口座に保管されている資産は倒産した証券会社の負債の返済には充てられないため、顧客の資産は安全というわけです。

たとえば、株式や債券の場合、証券会社は自己の資産と顧客の資産を別々に保管しています。そのため、証券会社が倒産してしまったとしても、顧客の株式や債券は倒産した証券会社から他の証券会社へ移されます。また、投資信託の場合、証券会社はあくまでも販売業者であって、保管しているのは信託銀行です。したがって、証券会社が倒産したとしても、投資信託は信託銀行によって保管され続けます。

証券会社に預けていたお金についても、証券会社では同じ金額を「顧客分別金」として信託銀行に信託しています。そのため、仮に証券会社が破綻してしまったとしても、顧客にその金額が全額返還される仕組みになっているのです。

投資者保護基金とは

それでは、もしも証券会社が何らかの事情によって分別管理をしていなかった場合、株式や債券は戻ってこないのでしょうか。

そのようなことはありません。日本には「投資者保護基金」という制度があります。これは、証券会社の顧客が保有する資産を保護するための制度です。投資者保護基金は、証券会社が経営破綻した場合、その証券会社の顧客が保有する資産を保護する目的で設けられています。具体的には、証券会社が倒産して顧客が自己の資産(株式、債券など)を取り戻せない場合、投資者保護基金から一定の補償が行われます。

ただし、この制度では投資の元本や利益が保証されるわけではありません。また、補償額には1000万円という上限があり、全額が補償されない場合もあることを理解しておきましょう。

証券会社が倒産しても資産は守られる!

取引している証券会社が万が一倒産してしまったとしても、証券会社がしっかりと分別管理をしていれば、預けている株式や債券、お金は戻ってきます。証券会社が何らかの事情によって分別管理をしていなかった場合でも、投資者保護基金という制度によって1000万円までの資産は戻ってきます。証券会社が倒産してしまったら資産がなくなってしまうというようなことはありません。

出典

日本投資者保護基金 投資者保護基金とは
日本投資者保護基金 Q&A
日本証券業協会 証券会社等の分別管理について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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