31年ぶり実現の東京Vと横浜FMの開幕戦での黄金カード! 松原健の劇的逆転弾で再びトリコロールに軍配【明治安田J1開幕節】

31年ぶりの黄金カードは横浜FMに軍配。[写真:©超ワールドサッカー]

明治安田J1リーグ開幕節の東京ヴェルディvs横浜F・マリノスが25日に国立競技場で行われ、アウェイの横浜FMが1-2で逆転勝利した。

昨シーズンのJ2リーグを3位フィニッシュし、昇格プレーオフを制して16年ぶりのJ1帰還を果たした東京V。就任3年目の城福浩監督の下、今季J1で最年少となる平均年齢24.1歳の若きスカッドは難敵相手の開幕戦で白星発進を狙った。注目のスタメンはGKマテウス、谷口栄斗、森田晃樹、染野唯月ら昇格の立役者と共に翁長聖、山田楓喜、見木友哉、木村勇大と4人の新戦力が起用された。

一方、昨季J1で2位で2年ぶりの覇権奪還へ昇格組相手の白星スタートを狙った横浜FM。直近のACLでバンコク・ユナイテッドを撃破し、クラブ史上初のベスト8進出を果たしたハリー・キューウェル率いる新生トリコロールは、120分の激闘を戦った4日前のACLから先発3人を変更。加藤蓮、ナム・テヒ、ヤン・マテウスをベンチに置き松原健、山根陸、水沼宏太を起用した。

1993年5月15日に行われたJリーグの開幕カードであり、“クラシコ”、“ナショナル・ダービー”とも称される、東京Vと横浜FMによる31年ぶりの開幕節での国立決戦。

5万3026人の大観衆を集めた一戦は開幕戦特有の硬さを感じさせないアグレッシブな入りを見せた東京Vがライバルにいきなり牙を剥いた。

開始3分、背後へ飛び出した木村がボックス手前でGKポープ・ウィリアムと競り合う。これでポープにホールディングでのファウルでイエローカードが出る。だが、木村博之主審はVARの助言を受けてエリア外でのハンドを含めた決定機阻止での退場の可能性を確認。ただ、退場なしの判定となった。

これに納得がいかないホームチームだったが、ボックス手前右の好位置で得たFKをキッカーの山田楓が左足を振り抜くと、美しい軌道を描いたシュートがゴール右上隅に突き刺した。

京都から新加入のパリ五輪候補の鮮烈な一撃によって早くもスコアを動かした東京Vは、徐々に横浜FMの圧力に晒されて守勢を強いられるが、真骨頂の粘りの守備で応対。エウベルやアンデルソン・ロペスらにタイトな寄せで対応する。

また、ACLの疲労によって重さやイージーミスも散見される相手に対して、後方からのプレス回避、カウンターの形からチャンスを創出。21分には森田のスルーパスに抜け出した染野がボックス左での細かいステップワークでDFをかわしてゴール至近距離からのシュート。以降も推進力のある攻めから山田楓の正確な左足のラストパスを軸に木村や染野が際どいフィニッシュを見せる。

一方、ボールは持てるものの、相手の連動した守備にパスの精度を乱されるアウェイチーム。幾度か相手の不用意なボールロストからカウンターに転じるが、自慢の強力なアタッカー陣が違いを生み出せず。その後、山田楓に与えた決定機はGKポープのビッグセーブで凌いだものの、攻撃の糸口を見いだせぬまま前半を終えた。

前半の難しい状況を受け、選手交代での変化も予想された横浜FMだが、後半も同じメンバーでスタート。ただ、古巣初対戦の渡辺皓太を中心に全体のギアを上げて早い時間帯の同点ゴールを目指していく。さらに、56分には水沼、喜田拓也を下げてヤン・マテウス、宮市亮を同時投入。エウベルをトップ下に配した[4-2-3-1]の攻撃的な布陣に変化した。

この交代策によって両サイドを起点にアウェイチームのチャンスが増え始めると、城福監督も素早いテコ入れ。山田楓と齋藤功佑の両サイドを下げて山見大登、河村慶人を同時投入した。その河村は投入直後にボックス右でルーズボールを回収し、枠のわずか右に外れる際どいシュートを放つ。

以降はブラジル人トリオのコンビネーションに加え、宮市を中心に背後への飛び出しの意識が増えたことで、より多彩な攻撃を繰り出す横浜
FMの時間帯が続く。だが、宮市のゴールシーンでオフサイドを取られるなど粘る東京Vの堅守をあと一歩でこじ開けられない。

後半半ばを過ぎて試合が膠着し始めると、両ベンチが積極的に交代カードを切っていく。その中で相手の攻撃を単純に撥ね返すだけの苦しい戦いを強いられる東京Vだが、染野や森田がしたたかに相手陣内で時間を進める。

だが、リスクを冒して攻め続ける横浜FMは89分、土壇場で同点に追いつく。ボックス内でのナム・テヒのクロスが河村のハンドを誘ってPKを獲得。これをキッカーのアンデルソン・ロペスが冷静に左隅へ決める。

さらに、畳みかける横浜FMは31年前の歴史を再現するかのように試合を引っくり返す。93分、右サイドでのヤン・マテウスの仕掛けから短いマイナスのパスを受けた松原健がボックス右に侵入し、左足のコントロールシュートを放つと、これがゴール左上隅の完璧なコースに決まった。

そして、31年前の国立決戦同様に東京V相手に逆転勝利を飾った横浜FMが今季のリーグ戦初陣を白星で飾った。一方、善戦も最後は屈した東京Vは16年ぶりのJ1の戦いを黒星でスタートすることになった。

東京ヴェルディ 1-2 横浜F・マリノス
【東京V】
山田楓喜(前7)
【横浜FM】
アンデルソン・ロペス(後44)
松原健(後45+3)

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