溝口派一刀流剣術で代表を務める長沼悟詮(のりあき)さん(77)=福島県会津若松市在住、全会津剣道連盟相談役=は、今年度の日本古武道協会功労者に初めて選ばれた。選出は長沼さんを含め全国で2人。会津藩士が稽古に励んだ流派を長年にわたって保存・継承し、後進の育成に努めた功績が評価された。
溝口派一刀流は会津藩士が学んだ五つの剣術流派「会津五流」の一つで、藩士の池上安道が始祖と伝わる。流れるような足さばきで、先んじて相手に打ち勝つ動きが特徴だ。家老や上級武士が身に付け、外部への公開を許されなかった。藩士を父に持ち、全会津剣道連盟会長などを務めた故・和田晋さんが1968(昭和43)年に初めて一般公開した。
長沼さんはその翌年から和田さんに師事。1980年に師範役を継承し、1995(平成7)年に故・好川忠さんから代表を引き継いだ。高校教員を務める傍ら、活動を続けてきた。現在、22人の門下生を抱える。日本古武道協会理事も務めている。
表彰式が東京都の日本武道館で行われ、表彰状を受けた。15日、室井照平市長に喜びを伝え「大変光栄なこと。溝口派一刀流剣術、全会津剣道連盟の協力のおかげ」と感謝した。