猫の『聴力』に関する3つの豆知識 ヒトよりはるかにスゴい猫たちの音世界とは?

1.優れているのは視力より「聴力」

猫にも、人間のように「五感」があります。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の5つの中で、猫が最も優れているのは聴覚です。

猫の動きを見ていると、動くものに敏感に反応するので、『猫は視力が良い』というイメージを持っている人は少なくないのではないでしょうか。

しかし猫は、動体視力は良いものの、実際の視力はそんなに良いわけではないのです。猫が長けているのは「聴力」で、『猫が受け取る情報の40%は聴覚で得たもの』と言われています。

つまり、あんなに俊敏な動きをしていても、猫は視力をそれほど活用しておらず、むしろ耳からの情報を主に行動しているのです。

2.まるで「絶対音感」のような聴力

「絶対音感」とは、音を聞いただけで音の高さを絶対的に認識し、聞き分けられる能力のことです。

もちろん猫は音階(ドレミファソラシド)を理解していませんので、ここでたとえている「絶対音感」とは、細かい音を聞き分けることができることを指します。

たとえば一つの音をさらに細かい音階で聞き分けることができる、というものです。だからこそ猫は、ビニール袋の「カサカサ」という音と、キャットフードの袋の「カサカサ」という音を自然に聞き分けることができるのでしょう。

しかも、猫は『聞き取れる周波数の範囲が広い』と言われています。人間の「20ヘルツ~2万ヘルツ」という可聴域に対して、猫は「25~6万5千ヘルツ、最大10万ヘルツ」と言われており、人間の約4倍~5倍ともいわれています。

3.遠くの音も聞こえる

猫は上記のように細かい音の違いを聞き分けることができますし、可聴域が広いだけでなく遠くの音も聞き取ることができます。一説によると、1km先の音も聞こえているとか、20m先のアリの足音も聞こえているとか、さまざまな説があります。

たとえば、愛猫にバレないようにおやつを用意するとき。なるべく音を立てないように気をつけながら袋を開けたにもかかわらず、愛猫が気づいて駆け寄ってくることはありませんか。

これは、離れていてもそのわずかな音が聞こえている証です。しかも、何の音であるかを聞き分けられているのです。

他にも、猫は飼い主さんが車で帰ってくることを察知して、玄関に迎えに行くことがあります。これは、遠くに聞こえる飼い主さんの車の音を確認できているからなのです。

まとめ

今でこそ室内で暮らすことがほとんどであるイエネコですが、猫はもともと野生に生きる動物。生活をするために狩りは必須であったため、獲物の声や足音を聞き逃さないために、聴力が発達したといわれています。

そんな猫の耳は先が尖っていて円錐状で、集音力にも長けた構造になっています。しかも猫の耳は左右を別々に動かすことができ、外側に180度近く回転。猫たちは耳をまるでパラボラアンテナように活用して、音を拾っているのです。

「そんなに耳がよいとテレビの音はうるさいのかしら?」と心配になりますが、猫は本能的に「必要ない音=気にしない」としてスルーできるようです。そのような意味でも「聞き分け」ができているようなので、「好きな音」と「嫌いな音」には強く反応します。

猫の感じる音世界は、人間には想像できないほど繊細で、かつ広大に広がっているのかもしれませんね。

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