【光る君へ】超難易度の高い球技と演技をこなした俳優と猫

吉高由里子主演で、日本最古の女流長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。2月18日放送の第7回「おかしきことこそ」では、日本最古の球技「打毬(だきゅう)」を俳優たちが見事に再現したのに加え、思わぬ伏兵の活躍&行く末の心配でSNSが翻弄された(以下、ネタバレあり)。

『光る君へ』第6回より、黒木華が演じる源倫子の飼い猫・小麻呂 (C)NHK

■ 第7回あらすじ「おかしきことこそ」

最愛の后・藤原忯子(井上咲楽)を失った花山天皇(本郷奏多)は、右大臣・藤原兼家(段田安則)が呪詛したことを疑い、信用できるのは外叔父・藤原義懐(高橋光臣)と、教育係だったまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)だけとなっていた。実は兼家の間者だった為時はそれを心苦しく思い、間者の役目から降りることになったが、友人の藤原宣孝(佐々木蔵之介)はそれを強くとがめた。

『光る君へ』第7回より、打毬の試合に望む藤原道長(柄本佑)ら (C)NHK

一方、兼家の三男・藤原道長(柄本佑)は、藤原斉信(金田哲)らの誘いで打毬の試合に望むが、藤原行成(渡辺大知)が参加できなくなったため、急遽顔なじみの散楽師・直秀(毎熊克哉)を加入させた。試合が終わって身支度を整えているとき、道長は直秀の腕に真新しい傷があるのに気づく。それは直秀が大内裏に盗みに入ったとき、警護をしていた道長の矢を受けた傷だった・・・。

■ 打毬の再現「なぜできる?俳優だろ?」

これまで大河ドラマでは描かれてこなかった時代が舞台というだけあって、第4回の「五節の舞」をはじめ、生まれて初めて見るような絵柄が続々と登場するのが、今や『光る君へ』の大きな見どころ。この第7回では、イギリスの「ポロ」よりも長い歴史を持つ球技「打毬」が再現された。馬に乗りながら長い杖を振り回し、球を飛ばすというのは相当な技術が必要で、演じた役者たちは相当苦労したに違いない。

『光る君へ』第7回より、馬に乗りながら長い杖を振り回して球を飛ばす公任(町田啓太) (C)NHK

SNSでも「打毬の本格的な映像化が今の時代におこなわれるとは」「こんなにも軽々やりのけてしまうキャストのみなさん凄い!」「みんな何故できる!?俳優だろ?(汗)」と絶賛。また吉高由里子もX(旧ツイッター)で、「馬に乗りながら球も操る場面はみんなの努力の賜物」と、共演者たちをリアルタイムで褒め称えていた。

またそのあとで選手たちが、上半身裸でボーイズトークを交わす場面では、「直秀と道長の上半身裸に手を合わせて感謝しております」「雄のむさ苦しい感じが出てて女性を品定めするいやらしい会話と合っていた」などの称賛があった一方、「言っていることが(まひろにとっては)しんどい展開で、肉体美が入ってこない」という、思いやりの深いコメントもあった。

■ 今回は特に大活躍、飼い猫の小麻呂

しかし打毬やイケメンたちの裸以上に視聴者の目を釘付けにしたのは、源倫子(黒木華)の飼い猫として、しばしば視聴者をほっこりとさせてきた小麻呂だろう。今回は妙にまひろになついて、ふとした瞬間に道長に心を奪われそうになる彼女の心を軌道修正しただけでなく、逃亡してまひろをボーイズトークの現場に導く・・・という大役まで果たしてくれた。

『光る君へ』第7回より、まひろ(吉高由里子)にすっかりなついた猫の小麻呂 (C)NHK

SNSでも、「小麻呂が物語を動かすために走りはじめました!」「ネコが一番演技上手いのでは」「もうね、このドラマは小麻呂が主役だと勝手に思って観ている」「小麻呂をもっと映してくれ頼む」などのコメントが殺到。リアルタイムでXを更新していた藤原道兼役の玉置玲央も、「小麻呂、芸達者過ぎる」と絶賛していた。

しかし小麻呂は、草葉の陰で雨に濡れているカットを最後に、まひろが捕まえたのかどうか定かではないまま「次回に続く」という展開に。SNSでは「こまろ、ちゃんとおうちに帰れただろうか」「まひろちゃん、大変お辛いところ申し訳ないがこまろちゃんは無事なの?」「『スタッフに捕獲されました』ってテロップ入れて〜」という、心配の声が殺到した。

かつては『おんな城主直虎』(2017年)でも、猫の存在がかなりフィーチャーされて、激辛な物語の数少ない癒やしとなっていたが、猫が完全に物語を動かすキーパーソン(キーキャット?)になるのは、なかなか斬新な使われ方だった。そして筆者も多くの視聴者と同じく、小麻呂が無事に倫子さまの元に戻れたかどうか今もソワソワしているので、心から続報を待ちたい。

『光る君へ』は、NHK総合では毎週日曜・夜8時から、NHKBSでは夜6時から、BSP4Kは昼12時15分からの放送。2月25日放送の第8回「招かれざる者」では、道長の父・兼家(段田安則)が病に倒れる一方で、道長の兄で、かつてまひろの母を殺害した道兼が、まひろの家を訪ねてくる様子が描かれる。

文/吉永美和子

© 株式会社京阪神エルマガジン社