中国で「辰年の出生数増加」は実現するか、肯定論と否定論こもごも―華字情報サイト

海外在住中国人向けの華字情報サイトの文学城は23日付で、辰年である2024年には中国で出生数が増える可能性があると紹介する記事を掲載した。ただし、「辰年であっても子供はいらない」とする人も多い。

海外在住中国人向けの華字情報サイトの文学城は23日付で、辰年である2024年には中国で出生数が増える可能性があると紹介する記事を掲載した。すでに出生数が増えた病院が各地にあるという。ただし、「辰年であっても子供はいらない」とする人も多い。以下は、同記事の主要部分の要約だ。

報道によると、江蘇省無錫市のある病院で春節時期に生まれた赤ちゃんは、前年同期比20%増の216人だった。安徽省蚌埠市の病院でも、新生児数は前年同期の109人から138人に増加した。陝西中医薬大学第二付属医は18日、新生児の数は前年比71.9%増の232人に達したと発表した。

中国では12の干支の中でも、竜は最も縁起の良い干支とされている。そのため中国人は長年に渡り「竜の年に竜の子が生まれる」という言葉を好んできた。前回の辰年の12年における中国の年間出生人口は1973万人で、21世紀になってから最多だった。その後に2人っ子や3人っ子の出産が認められた年よりも、12年の方が出生数が多かった。

また、20年に始まった新型コロナウイルスの流行で、多くの人が結婚を23年まで控えた。多くの地域では、婚姻登録が近年になって初めて回復し、今年の出生数増加に結びつくと期待されている。

中国国家統計局が1月の発表によれば、23年の中国の人口は208万人の純減となり、21年に「3人っ子政策」が導入されてから2年連続の人口減だった。中国の総人口は現在約14億1000万人で、「人口が世界一の大国」の座も、23年4月末にはインドに譲った。

さらに厳しい事実は、中国の人口減少は数字の変化だけでなく、社会構造を変えることにもつながる点だ。著名な人口問題学者である、米ウィスコンシン大学マディソン校の易富賢上席研究員は、「急速な高齢化は社会保険や定年延長などの問題をもたらし、中国の製造業の衰退や消費の萎縮を招き、経済、社会、さらには地政学上の衝撃をもたらす恐れがある」と指摘した。

中国メディアは「辰年の出産増」を喜んでいるが、西安交通大学人口発展研究所の姜全保教授は「干支は出生人口の変化に確かに影響を与えるが、人口の推移の全体的な傾向に与える影響は小さい」と指摘した。

広東省政府参事室の董玉整特約研究員も辰年の出産増について、一時的な現象ににすぎず、若者の結婚や育児の意欲を真に高めるためには、健全で積極的な出産政策により支援システムを構築し、家庭の出産や育児の負担を著しく軽減する必要があるとの見方を示した。

ネットユーザーの反応は、研究者よりも直接的だ。中国メディアの「新京報」が1月中旬にSNSを利用して、「あなたは辰年の赤ちゃんがほしいですか?」との質問への回答を求めたところ、「欲しいと思わない」と回答した人は「欲しい」と回答した人の4倍に迫る勢いで4269人に達した。

コメント欄に現状への不満を書き込んだ人も多かった。「辰年生まれだったら牛馬にならずに済むのか」「玉帝の干支に生まれても、ニラのように摘み取られるだけの命だ」といった書き込みが寄せられた。さらに、極めて厳しい感染対策が実施されていた時期に、子供を利用して威嚇することにより民衆を屈服させた係員がいたことを思い出して、「(子を持つのは)いやだ。いつまでも続く弱みが生じることが怖い」と書き込んだ人もいた。(翻訳・編集/如月隼人)

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