採算確保へ方式変更 全国地ビールフェス・一関 チケット制廃止 価格やサイズ、業者が決定

全国からブルワリーが参加する地ビールフェス。チケット制を廃止して採算確保を目指す=写真は昨年のフェスから

 一関市の夏の恒例イベントとして人気を博している「全国地ビールフェスティバルin一関」の運営方式が変わる。これまでは主催する実行委員会によるチケットを活用して統一した料金・量のビールを販売していたが、ブルワリー(ビール醸造所)にとっては採算が取りにくく、出店業者の減少にもつながっているという指摘があった。そのため、チケット制を廃止して出店料を徴収する方式とし、ビールの単価やサイズは各業者が決めることとした。方式変更でブルワリーが利益を出しやすくして出店数の確保を図りながら、より充実したイベントを目指していく。

 コロナ禍前までは地ビールを対象としたイベントが限られ、広告宣伝の意味合いからも同フェスに出店するブルワリーが多かったが、ここ最近は都市部でもビアフェスが乱立し、PRのために出店する必要性がなくなってきているのが現状。一方、同フェスは実行委が統一単価でビールを買い取り、チケットを使って同じ値段で販売する方式だったが、一般的な卸価格(1リットル1000円以上)よりも買い取り価格(2023年は1リットル900円)が低いことで、ブルワリーにとっては利益を出しにくい構造となっていた。交通費や宿泊費が掛かる遠方のブルワリーにとっては参加しづらく、出店数減少の要因にもなっていたという。

 その解決に向け、実行委では今年のフェスからビールを買い取るチケット制を廃止し、出店料を徴収してイベントを運営する方式に変更する。地ビールの単価やサイズは指定せず、出店業者の裁量とする。実行委では会場内にブースを3カ所設け、ボランティアを含めスタッフを5人程度ずつ配置していたが、チケット廃止により運営に必要な人員を削減することができ、大人数のボランティアを必要としない持続可能な体制を確立できるとしている。

 実行委の佐々木賢治会長は「これまで開催してきた中で課題が出て、解決しなければ進められない。今のうちに変えていって、さらに皆さんから参加してもらえる地ビールフェスにしていきたい」と語っている。

 今年の第27回フェスは8月23~25日の3日間、同市大手町の一関文化センター前広場で開催される。

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