復興の「春」へ関門 国公立大2次試験始まる 金大は3159人挑む

試験の開始を待つ受験生=金大角間キャンパス

  ●県内4大学 ふるさと思い、被災地から受験 

 国公立大2次試験の前期日程が25日、全国の大学で始まった。石川県内では金大、県立大、県立看護大、公立小松大の4校で学力検査や面接試験などが行われた。能登半島地震で被災した能登からも受験生が訪れ、3630人がそれぞれの夢に向けて関門に臨んだ。

 金大には前年度比278人減の3159人が挑み、受験倍率は2.0倍(前年度2.2倍)だった。受験生は雨が降る中、緊張した面持ちで会場に向かった。

  ●金沢で2次避難

 国際学類を受けた穴水高3年の女子生徒(18)は地震で輪島市内の自宅が被災し、1月中旬の共通テストまで輪島高で避難生活を送った。この日は金沢市内の2次避難先から試験会場に。「英語が難しかったが、何とか解いた。将来はふるさとの復興に関わる仕事がしたい」と意気込んだ。

 志賀町に住む七尾高3年の男子生徒(18)は鉄道の運休で学校に通えない時期があったが、「学校で友人と勉強したら、モチベーションが上がった」と振り返った。

 県内の5国公立大では、県立大と県立看護大は県内の全受験生、金大、金沢美大、公立小松大は自宅が全半壊するなどした受験生の入学検定料を無料とする。

 金大では26日も入試が行われ、総合問題と国語が出題される。合格発表は公立小松大が3月6日、県立大が7日、県立看護大が8日、金大が9日。

  ●全国23万人が志願

 全国では172大学601学部で実施され、志願者は約23万人。募集人員に対する倍率は昨年と同じ2.9倍となった。

 大手予備校河合塾は、大学入学共通テスト受験者が減少した一方で、国公立大の倍率は維持されており、人気が上がったと分析している。文部科学省は、能登半島地震被災地の高校生らが受験機会を失うことがないよう、受験票を紛失した場合でも試験当日の受け付けを認める対応を大学側に要請している。

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