能登半島地震/日建連・木村淳二北陸支部長に聞く、スピード感持ち本復旧へ

◇資材の安定調達、宿泊施設確保を
「地域の守り手」として能登半島地震の対応に当たる建設業。特に被害が甚大だった道路や河川などの緊急復旧や応急対策は、災害協定を結ぶ国土交通省北陸地方整備局の要請を受けた日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の会員が過酷な作業環境下で懸命に取り組んでいる。最前線で活動する日建連北陸支部の木村淳二支部長(鹿島執行役員北陸支店長)に初動対応を振り返ってもらうとともに、本復旧に向けた方針などを聞いた。
--日建連北陸支部の初動はどうだったのか。
「1月1日午後4時10分の地震発生直後に緊急災害対策本部を立ち上げた。被害状況がある程度判明した同2日の午前10時30分、大型緊急車両が能登半島北部の石川県輪島、珠洲両市まで行けるようにしてほしいという北陸整備局の要請を受け、同日昼過ぎから人員や資機材を手配し始め、その日のうちに会員2社が現地入りし道路啓開に着手した。同4日の午前中には輪島と珠洲にアクセスする道路を確保できた」
「同3日午後に日建連緊急災害対策本部の会合を開き、のと里山海道や国道249号の道路啓開について会員で分担を決めた。その後、土砂で河道埋塞(まいそく)した河川の応急対策や孤立集落とアクセスするための道路啓開などが続き、今月初旬までに延べ40カ所で復旧活動を行っている。平時から北陸整備局と連携し災害時の対応マニュアル、連絡体制をしっかりと決めておいたことが迅速な初動に貢献したと思う」
--会員が出動している現場の状況は。
「(21日までに完了した現場も含め)会員14社が復旧活動を行っている。道路啓開はほぼ終わりつつあるものの、盛り土区間の斜面やトンネル覆工が崩落した国道249号の海沿い区間など啓開のレベルでは復旧できない箇所も残っている。全面的に復旧や改良に取り組む必要があるだろう。仮設の水路などを整備している河川も同様だ」
--現場の安全管理や作業員らの健康確保で留意することは。
「二次災害に最大限の注意を払いつつ、基本的には平時の工事と同じように安全第一、決して無理しすぎることがないよう呼び掛けている。個人レベルでは交代制で4週8休が取れる人員を投入していきたい」
--現場の環境改善に向け国など公共発注機関に望むことは。
「能登半島の西側にある石川県羽咋市の周辺に多くの宿泊施設が確保され、建設業の関係者も利用している。それでも能登半島北部などの現場に移動するまで片道1時間30分以上はかかる。発注者には宿泊場所から30~40分程度で行ける場所に仮設宿舎が建てられるヤードを確保してほしい。それと今回の災害対応でもスマートフォンやタブレットが情報共有などで大変役立っている。ネット環境の整備を国土強靱化の一環で進めてほしい」
--本復旧に向けた方針や課題を。
「今後の本復旧ではまず調査や設計などが必要になる。日建連会員がそれぞれ持っている設計部門を活用しつつ、発注者や建設コンサルタントなどと連携しスピード感を持って本復旧に貢献していきたい。併せて(会員が北陸地方で施工中または施工した)建築物の復旧や補修も集中的に出てくるだろう。各社でしっかり対応していく必要がある」
--調達の遅れや不足が懸念される資材の確保は。
「(道路補修などで使う)砕石が不足している。電線の不足はやや解消されつつあるようだ。北陸整備局には港湾が利用できる状況になれば海上輸送で搬入し、ストックしておいたヤードから必要に応じ施工者が持って行けるような枠組みを取り入れてほしい。その管理には日建連も協力する」。

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