日建設計ら/S造建物の健全性をセンサーで計測、繰り返される地震の蓄積も考慮

日建設計らは、地震後の建物の蓄積ダメージを正確に把握するシステム「ダイレクトモニタリング」を開発した。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の伊山潤准教授との共同開発。S造建物を支える柱や梁の健全性を、ひずみセンサー計測で直接確認し、損傷状態を正確に早く判定する。大地震後の建物の早期復旧を実現する「レジリエンスサポートサービス」の一環として、実用化・商用化を目指す。
建物の被災度・部材ダメージをデジタルデータとして検出し、仕上げに覆われた部位でも損傷部位・状態を推定する。検出データに基づき、修復の要否を迅速に建物所有者に発信する。
復旧に向けては、範囲を限定した効率的な詳細調査を実施。繰り返される地震に対してもダメージ蓄積を考慮した安全性が判断できるようにする。10層のS造オフィス試験体や自社ビルで検証を進めている。
同社は、2014年に地震時の建物の揺れを計測し即座に被災度を判定する「NSmos(日建設計地震時建物被災度判定システム)」を開発した。これまでは、仕上げに覆われた部位の詳細な状態確認は困難で、繰り返される地震に対しては安全性の判断ができないことが課題になっていた。

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