日建連首脳会見/労務単価さらなる引き上げを、全産業並みの年収実現へ

日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長と押味至一、蓮輪賢治両副会長が22日、東京都内で開いた理事会後に会見した。宮本会長らは3月1日から適用される国土交通省の公共工事設計労務単価が12年連続で引き上げられ、全国・全職種の単純平均で前年度比5・9%増と過去10年で最大の伸び率になったことを評価。それでも年収換算で厚生労働省の調査結果に基づく全産業労働者の平均水準には届かないとして、さらなる引き上げを訴えた。
国交省が決定した新労務単価は全職種の加重平均で日額2万3600円。4月から時間外労働上限規制が適用される中、週休2日を前提に全産業労働者並みの年収を実現するためには最低でも同2万5000円程度にまで引き上げる必要がある。日建連は2015年に決定した長期ビジョンで、40代で全産業平均(12年時点)の年収600万円を目指す目標を掲げている。
宮本会長は新労務単価の引き上げ幅に関し「前向きに考えていただいていることに感謝する」と前置きした上で、年収に換算すると「建設技能者の水準は全産業労働者の平均にはまだまだ追い付いていない。また全産業平均も上がるので実質的な差は変わらない。もう少し(引き上げてほしい)という気持ちはある」と指摘。「そうしないと若い人が入職せず担い手が確実に不足する」と危機感をあらわにした。
宮本会長は来年で長期ビジョンが決定してから10年の節目を迎えることにも言及。近く決定する24年度事業計画には次期ビジョンの検討を盛り込み、現在設定している技能者の年収目標引き上げを視野に入れていることを示唆した。
押味副会長土木本部長は「さらに続けての引き上げを期待したい」と述べ、蓮輪副会長建築本部長は民間工事への波及効果に期待を込めた。

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