これぞニッポンのやさしさ “MOI戦線”に本命登場か!? ミズノ「ST-MAX 230 ドライバー」

シリーズ史上最大のMOIを誇り、ミスヒットに対する寛容性が高い「ST-MAX 230ドライバー」

世は大・高慣性モーメント時代。ミズノからも「シリーズ史上最大MOI」をうたうニューモデルが登場した。「ST-MAX 230 ドライバー」は昨年3月に出た「ST230」シリーズの追加モデル。ギア知識が豊富なミタさんの解説から、アスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打。1年越しでついにそろった“三兄弟”の末っ子の実力やいかに。

ヘッドのつくりは“さすがミズノ”な美しさ

左上が「ST-Z 230」、右上が「ST-X 230」、下が今回試打した「ST-MAX 230」

【ミタさん】
ミズノは2023年3月に「ST230」シリーズをリリースしました。「ST-Z 230 ドライバー」はツアープロをはじめとしたアスリートゴルファーに好評のモデル。同時発売の「ST-X 230 ドライバー」は、「Z」よりも、つかまりの良さを重視しました。

【シオさん】
ちょうど1年前ですね。私にはどちらも結構ハードだった記憶が…。

【ミタさん】
安心してください。今作は、「Z」と「X」に“やさしさ”を加えたモデル。「MAX」の名は、慣性モーメント値と、高初速エリアをシリーズ最大にしたことから付けられました。

【ヨシダくん】
ミズノも“最大”慣性モーメントですか。テーラーメイドの「Qi10 MAX」 、ピンの「G430 MAX 10K」と、まさに各社競っていますね。

フェースには強度の高い「Ti-LFS」が採用され、初速を上げつつ慣性モーメントを最大化している

【ミタさん】
このST-230 MAXはフェース(コアテックフェース)に秘密があります。「Z」と「X」で採用された「β(ベータ)チタン」よりも軽く、強度の高い「Ti-LFS」採用。初速を上げるとともに、軽量化で生まれた余剰重量をヘッドの後方や下部に再分配し、慣性モーメントをアップさせました。フェース面に刻まれた文字も「β-TITANIUM」から「FORGED Ti-LFS」に変っています。

ミズノらしい美しいつくりを踏襲

【シオさん】
構えたときの見た目は「さすがミズノ!さすが国産!」と言いたくなります。クラブ全体のつくりがキレイでしっくりきます。

【ミタさん】
「Z」、「X」に比べ、クラウンが後方に伸びて投影面積が大きくなった分、安心感があります。一方でフェースのディープさはあってボテッとはしていないので、良い意味でミズノっぽさを感じますね。

【ヨシダくん】
全体の形状は本当に美しいです。ただ、僕はデザインがもう少しシンプルなほうが好みかも。後方のフチをかたどった青いラインや、ヒール近くに配された小さな文字が気になりました。「構えたときの情報量が多い」と言えばいいんですかね。

進化した“鉄芯”の打感は

「ヒールに当たっても初速の落ちが少なく打感も良い」(シオさん)

【シオさん】
スイングしてみると…確かに! やさしさをインパクトで感じられます。ボールがフェースに吸い付く時間が長い。スイートエリアも広がった感があります。私はあおりグセがあるのでヒールヒットが多いのですが、ヒールに当たっても初速が落ちませんでしたね。

【ミタさん】
シオさん、ご名答。今作のMAXにはヒールヒットしやすいゴルファーに向けた秘策が施されているんです。前作の2モデルで初採用された「コアテックチャンバー(CORTECH CHAMBER)」という技術を覚えていますか?ウレタン樹脂の内部にステンレス製の“鉄芯”を埋め込み、慣性の法則を利用して、ボール初速を上げるメカニズム。今作ではその鉄芯を大きくし、高初速エリアをヒール側に広げたことで、ミスヒットに強くなったそうです。

「コアテックチャンバー」技術により、ステンレス製の鉄芯が内部に埋め込まれ、ボール初速を上げるメカニズムが採用されている

【ヨシダくん】
この「Ti-LFS」というフェース素材、本当に良い打感を生んでくれますね。前作「βチタン」の重厚感も極上でしたが、僕は今回の方が好きかも。弾き感がイヤなフィーリングじゃない。“分厚さのある弾き系”に感じられました。

「ST-MAX 230 ドライバー」(ロフト角10.5度)試打データ

【シオさん】
「Z」よりも打感がクッキリでぼやけません。トータル飛距離も、「Z」が219yd、「X」が231ydだったのに対し、今回「MAX」の255ydはスゴイ。ストレート軌道でかつキャリー231ydはうれしいなぁ。普段より打ち出し角が高く、スピン量も増えた(2000 rpm)のが好結果の理由だと思います。

【ヨシダくん】
僕はトータル306yd、数字上では「Z」(313yd)の方が飛んでいました。ですが、正直なところ、コースで使うなら圧倒的にこの「MAX」でしょう。ちゃんとコース内に収まってくれる安心感がほかの2機種に比べて段違い。初速は72.3m/sで、実際もっと速い数値が出るモデルは他社製品も含めて存在するでしょうが、73m/sや74m/sという初速になってくると、たまにとんでもなく曲がる球が出るんです。

まとめ

飛距離、打感、操作性と高評価が並んだ

【ミタさん】
慣性モーメントが大きくなったことで、打点ブレに強いのはもちろん、芯を外したときの初速も落ちにくくなりました。昨年発売の三兄弟の長男、次男のほうが操作性には優れていますが、この末っ子は打ち出し角、スピン量も平均的に向上し、高いレベルでの安定感を誇ります。

【ヨシダくん】
実際のラウンドでは、ドライバーショットは毎回300ydが必要だとは言えず、スコアメークのためには270yd地点にしっかり置きたいというケースが多々あります。そういうショットがしっかりできそう。縦距離、弾道の調整が簡単。痒い所に手が届く“孫の手”みたいな使い勝手の良さ。マジでミズノの最高傑作なんじゃ…。

【ミタさん】
老舗メーカーであるミズノは、とくにアイアンのとりわけミズノプロシリーズに玄人感が漂います。目にしただけ、聞くだけでも難しそう…というイメージが先行しがち。しかし、より多くのゴルファーを対象にしたJPXシリーズは国内外で評価が高く、今回のMAXはその立ち位置に合致するのでは。ネック調整機能を使ってアップライトにすることで、使えるゴルファー層はさらに広くなるはずです。

■ 試打したクラブのスペック

ミズノ ST-MAX 230 ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:TourAD GM D-55 ●硬さ:S

ミズノ ST-MAX 230 ドライバー

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S

ヨシダくん:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

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